2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

閉戸読書

江戸時代中期の儒学者であり戯作者でもあった井上蘭台(通熙)*1は『先哲叢談』という学者・文人の逸話集に「戸を閉じて書を読む」というエピソードを残しています。 井上蘭台、戸を閉じて書を読む。客の至る有れば、即ち自ら答ふるに不在を以ってす。客以っ…

幸せ(とか承認)とか

幸せ〜って何だっけ?何だっけ? ポン酢醤油のある家さ ポン酢醤油はキッコーマン ポン酢醤油はキッコーマン、キッコーマン この歌がCFで流れたのが1986年。もうこれを知らない世代も多いのかもしれません。 これが流行ってから20年以上が経ちましたが、私は…

うちの犬に○○コロされかけた話

うちの犬が死んで2年、まあ体の一部をひとにぺたっとつけるのが好きな子で、寝ていると必ず布団の上(とか脇)に乗ってきていました。寝る前に追い払っても必ず後で寄り添ってきます。それで安心するのでしょうが夏なんかはもう最悪。毛むくじゃらで体温高…

『間取りの手帖』

はてブで、おもしろサイトpya!の板橋の「1K7万5千円」物件 という記事がありました。間取り図に付けられたキャプションは 寸感: 部屋より広いバルコニーに風呂。ぜひ内見したかった。 こういうのに興味がある方がいらっしゃるなら、ちょっと紹介したい…

「死に神」表現と勧善懲悪

世にある勧善懲悪ストーリーに馴染んだ人ほど、「素粒子」に書かれた「死に神」という呼称に対して違和感を感じるのかもしれません。たとえば時代劇、前半から中盤にかけて弱い立場の人たちが搾取され・レイプされ・殺されて、たまりにたまった不正義への怒…

あじさいを英語で、と聞かれ

イギリス人の同僚と雑談していた時、アジサイの葉っぱを食べて食中毒にという話題になり、ふと「あじさいを英語で何ていうか知ってる?」と聞かれて答えに窮しました。 どっかで聞いたことがあるのは確か、という変な記憶だけがありましたが結局わからず。そ…

昨日の話の続き(少々)

昨日の記事のブクマコメでid:chirollさんが chiroll [漫画]紡木たくも漫画も好きなのでブクマ と書かれていまして、ちょっとだけ冷や汗でした(笑) そういう方がいらっしゃって当然なのですが、これは書き様を変えたほうがよかったかとちょっと思いました。…

ケータイ小説的。

ぼちぼち書評を目にするようになってきた速水健朗さんの『ケータイ小説的。"再ヤンキー化"時代の少女たち』(原書房)ですが、私も先日購入して読了しました。これはケータイ小説というものから見えてくる「世代論」だと感じました。 もちろんそれはある広が…

酔った勢いで

よしなが 少女マンガって、広いじゃないですか。いわゆるオメメキラキラの恋愛ものから、それこそ白泉系の『はみだしっ子』みたいなものまで。でも結局私、少女マンガって一様に言えるのはやっぱりマイノリティのためのものだなと思う。 … よしなが 『ハチク…

私たちは辻占をしている

「当人がいじめられたと思えばそれはいじめ」という認識がある程度拡がってきていると感じます。これは今まで客観的な証拠だの証言だのとハードルを高くされ、「いじめ」と認められてこなかった被害の暗部に光を当てるものとして評価されるものだと考えます…

昨日の今日

4歳児と4時間遊んだだけで筋肉痛になるってどうよ?と思わないでもない今日この頃。 昨日は妹宅を訪問。手土産は千疋屋のフルーツサンド、他。 保育士みたいな重労働はできないと思い知らされたような一日でした。帰りは霧雨で濡れるし。 旦那さんのお母さ…

どさん

田舎からでてくる度に玄関先に「どさん」と声を出しながらお土産を置くおちゃめなおばさんが出てくる小説は何だったでしょうか。そのシーンだけが妙に記憶に残っています。 あれ、やりたいなとずっと思っていました。 ということで今日は妹のところへ出産祝…

平等というもの

王あるいは特権階級による政治の独占に対して主張され、獲得された「平等」はもとも政治参加における一人一人の立場の平等でした。そしていつしかその平等は人権思想として各人の法律的・社会的平等につながっていき、さらには物質的な境遇まで同じような水…

青空文庫のすゝめ

最近『蟹工船』が見直されているとかいう話を耳にしますが、状況に親近感ということがあってもあれはなかなかに読みづらい話ですし、やっぱりマンガ蟹工船(―30分で読める…大学生のための)が受けているということなのかなとも思わないでもありません。 いず…

興味深い議論の最中に口出しするのも不粋なのですが

これだけはちょっと… 稲葉振一郎氏@インタラクティヴ読書ノート別館の別館の「■[論点]「『はだかの王様の経済学』は戦慄すべき本である」メモ」の次の部分 論理的に言えばこの違いは、仏教とか「悟り」にひきつけるとわかりやすい(?)。 たとえば「解脱」…

HOW RICH ARE YOU?

少し前に話題になっていたサイト、グローバル・リッチリストをまた試してみました。 自分の年収をポンド・ドル・円・カナダドル・ユーロなどの単位で入れて、それが世界の何位であるか(何パーセントの枠に入るお金持ちか)を示してくれるサイトです。 一見…

ちょっと恥ずかしい

何となくリッチなはずの自分でしたが、今日は恥ずかしい思いを。 近所のスーパーマーケットで、最近カード払いができるようになっていたんです(以前はこの店で発行のカードだけしか使えませんでしたが、いまはVISAやマスターなどもOKに)。で、買い物かごを…

『秘密』の音楽

かなり溜めていた、清水玲子の『秘密 トップシークレット』のアニメを連続して視聴。録画だけして見ていなかったのでした。疲れましたがなかなか面白かったです。一発アイディアの作品かと思いましたが、奥行きがある作品だと感じました。これで原作より下と…

切断操作

はてなダイアリーのキーワードで出てくる「切断操作」という語には、宮台真司の著作の引用とともに「社会学の概念。共同体に特有な問題処理の作法。」という説明がついています。しかしこのタームが宮台氏独自のものであって、社会学の文脈で検討され通用し…

土曜日

岩手宮城内陸地震でうちのあたりもぐらぐらと震度4ぐらい。被害を受けた方は大変でした。洗濯とか掃除とかしながらずっとテレビはつけていました。早く起きていたので午後にふと眠り込み、自分が脳梗塞か何かで犬と母が騒いでいるという夢を見てびっくり。…

生真面目な思考

…大学生のころ、雑誌のコスメ特集に「女性が化粧もせずに素顔をさらして外を歩くなんて犯罪ですよ」と書いてあるのを読んで、「しかし、最初の化粧品はどうやって買いに行けばいいのだろう?」と考えこんだものだ。 「そうだ、たしか、天袋の衣裳ケースのど…

ろうそくデモ

韓国大衆運動の「今日を超えうる希望」(有田芳生の『酔醒漫録』) 徐さんに韓国情勢を聞いた。政権を追いつめているのはBSE問題だけではないという。グローバル化が韓国を襲い、経済的に厳しい状況にあることが背景にあるという。韓国では日本と違い市民運…

隠者とひきこもり

「隠者」とは世を捨て隠れ棲む者であり「ひきこもり」概念と重なっています。にもかかわらず「ひきこもり」に専らネガティブなイメージしかないのは、社会的不適応にポジションを許さない近代社会のスタイルからくるものではないかと考えます。 『荘子』の逍…

恒産無くして

無恒産而有恒心者、惟士爲能、若民、則無恒産、因無恒心、苟無恒心、放辟邪侈、無不爲已、及陷於罪、然後従而刑之、是罔民也、焉有仁人在位、罔民而可爲也 (『孟子』梁惠王上より) 恒産無くして恒心有るは、ただ士のみよくするところを為す、若し民に則ち…

「過熱するスピリチュアル・ブーム」(クローズアップ現代)

番組の筋立ては「自己責任に疲れた人々がスピリチュアルと言われるものに向っている」という大枠と「彼らを疲れ果てさせた成果主義などは人々にプレッシャーを与え続けている⇒社会問題」という背景の世相批判から作られていたと受け取りました。 この流れに…

社会的役割

ある専門職が十全の知識に基づいて社会的役割を果しているとすると、全人口に対するその職の専門家の数と割合と業績との間には、なんらかの肯定的な関係がみられるものである。だから、通信技術者が沢山いる国では少ししかいない国よりも電話網がよく発達し…

車輪の下(ヘルマン・ヘッセ)

天才的な才能を持ち育ったハンスという少年は、神学校というエリート学校へ2番の成績で合格する。 町中の人々から、将来を嘱望されるが、神学校の仲間と触れているうちに勉学一筋に生きてきた自分の生き方に疑問を感じる。そして周囲の期待に応えるために自…

通り魔事件に根本的な解決を…と言っても

昨日の秋葉原での七人死亡十人負傷の通り魔事件、今朝の報道で「通り魔事件に根本的な解決を」といったような意見も散見されました。もちろん「こんな事件が二度と起きないように…」という言葉に嘘はないでしょうが、それが通り魔事件であるならばこの言葉が…

米国産牛肉輸入問題

アメリカ産の牛肉輸入問題で輸入反対のろうそくデモに毎日参加した韓国の人たちは、根拠の無い流言に惑わされていると思えてなりません。誰かが政局にしようと煽っている感も無きにしもあらずです。ろうそくデモが盛り上がる辺りまでを、取りあえず報道から…

保科百助『よいかゝを欲しな百首け』

Wikipediaでも紹介されている保科百助(1868−1911)という方がいます。慶応四年長野で生まれた教育者であり鉱物学者。 長野県師範を卒業後、県内で教師・校長など歴任のかたわら鉱物標本の採取で中央にも名が聞えた方だったといいます。 1899年(明治32年)…