倫理

改正臓器移植法(A案)成立

「命の線引き許せない」=反対派が会見−臓器移植法(時事通信) ここで情緒的な議論をしても時すでに、ですし、むしろ今回の改正案の推進力として「子どもの移植を待つ(もしくは待った)親」の気持ちが情緒的に流されていたことを考えれば言わずもがなかな…

脳死とリビング・ウィル

生前の意思、Living Willという言葉は尊厳死に絡んでよく耳にするタームです。延命治療の打ち切りなどを生前に書面にしておき、意志が表明できない状況に陥っても「自分の意志」を医療関係者など周囲に伝えるために書きます。 日本でも日本尊厳死協会などが…

移植法案と青い芝の会

臓器移植修正案 7日にも提出(NHK) …臓器移植法の改正案をめぐっては、15歳未満からの臓器提供を認める「A案」が衆議院で可決されたのに対し、参議院の野党の有志議員から、子どもの脳死判定基準などを1年かけて検討するとした対案が提出され、参議院…

臓器移植法案

臓器移植法案「A案可決」賛成263票 子供の臓器移植に道を開くかどうかが焦点となっている臓器移植法改正4案は、18日午後の衆院本会議で採決が始まった。臓器移植をめぐる法案の採決は平成9年以来12年ぶり。採決は国会提出順にA〜D案が採決され、…

雑感

臓器移植法改正案について夕方から続報をテレビなどでも見続けていますが、場合によっては廃案になるというのが(自分が思っていたより)確率が高いものとされているようで少し安堵?しています。また参院でさらなる改正案に収まる公算もなくはないようで、…

産婦人科医銃撃

カンザス州の中絶医が教会で射殺、大統領が非難声明発表(CNN) 米カンザス州ウィチタ市内の教会で5月31日午前10時過ぎ、人工中絶手術を行う産婦人科医が銃撃され、死亡した。警察が明らかにした。 死亡したジョージ・ティラー医師は妊娠後期の中絶手術…

妊娠中絶・パーソン論など

⇒「マザー・テレサは間違えている。」(Something Orange) マザーテレサのどこが間違えていたとできるのか、その結論が今ひとつわからなかったのですが、何度か読んで「母(体)は胎児と一体。そこには無条件の自己決定権がある」という主張かなと思えまし…

Quality of Lifeについて

医学・医療系の専門用語としてQOL(Quality Of Life)という言葉はすっかり定着したものと思われます。一般の人の口にもあがるようになってきました。このQOLは「生命の質・生活の質」と専ら訳されていて、患者の快適さや意義ある生き方を考慮し、病状や治療…

エホバの証人・輸血

以前住んでいた所では月に数度、引越してからもふた月に一度はエホバの証人(宗教法人『ものみの塔聖書冊子教会』、通称『ものみの塔』)の人が訪問してきます。『目ざめよ』などのパンフレットを持って。彼らに関しては、輸血拒否の行動が二十年ほど前から…

みんながやっているから

「人は他者が欲望するものを欲する」という言い方が欲望の構造を表すならば、基本的に倫理も似た構造を持つのではないかとも思います。「人は周囲の人が願う在り方を願う」ということです。 ちょうど高校に入った子がその周りの皆の中で浮かないような格好を…

原則倫理と状況倫理 

ホームズ事件 1841年、ニューファウンドランド沖でウィリアム・ブラウン号という船が遭難した。避難する乗客及び乗組員は、 数少ない救命ボートに殺到。ボートは恐慌状態に陥っており、定員過剰で救命ボートの転覆の危険性があった。 「女性と子供優先」とい…

道徳的詐術

G★RDIAS:「本当は、できるでしょう?」の原初的風景より たとえば、私がコンビニで200円のおやつを買おうとするという状況を想定する。 目の前に、募金箱がある。そこには「アフガニスタンの人達は、4人家族で200円あれば1日暮らしていける」と書かれてあ…

妊娠中絶についての生命倫理学的議論

昨日の日記に関連して、生命倫理的な線引き問題の一つの例として、人間の人工妊娠中絶に関する倫理的議論はどうなっているのかというところを記しておきたいと思います。 人工妊娠中絶についての議論で中心的な論点となるのは、煎じ詰めれば次の二つのことで…

子猫を殺すこと

生命倫理のアポリアの多くは「線引き問題」と言ってよいと考えています。どこからどこまでをどうカテゴライズするか、そしてその基準に何を用い説得的な議論をするか、その当否が単純に決められないのが難題なのです。これには「線引き」がアプリオリなもの…

射水市立病院問題3

末期患者に対する消極的安楽死、無益な治療を停止すること(不作為)や苦痛緩和の薬剤の使用で結果的に患者が死んでいくに任せるということは、かつてわが国において家族の同意の下医師の裁量で行われ、社会的にも(暗黙のうちに)認められてきたとされます。…

射水市立病院問題

富山県射水市の市民病院で、人工呼吸器を外すことにより五年間に七人の末期患者が死亡した件ですが、これは倫理上の問題でもあるでしょうが、それ以上にまず刑法上の殺人にあたるかどうかが問われる事件でありましょう。 富山の延命停止、院長「倫理上問題」…

射水市立病院問題2

安楽死・尊厳死の問題は、プライバシー権すなわち自己決定権をどこまで重視するかという問題でもあります。ここで自己決定権と出てきたからと言って、短絡的にネオリベ批判とかあたりに議論を持っていかないで欲しいのですが(笑)、「対応能力」というター…

セクハラと言われずに交際を申し込むという課題

もう悲喜劇としかいいようがありません。 セクハラと言われないアプローチは? (44歳/男性)(サンマリエの広告ページ) 私は40台半ばの私立大学教員(社会科学系・男)です。 地方の大学に約10年勤務し、しばらく土地柄になじめなかったため、恋愛する気に…

「なぜ人を殺してはいけないのか」という言葉は誰に向けられてるの

なぜ人を殺してはいけないのか、という問いは倫理的な規範をその規範の外に立って問うものです。 この問いは誰に向けられているのでしょうか? もともとこれは自問する問いだと私は考えます。規範の中にあってそれを自明のものとするだけでなく、時に人はそ…

ヘリ不正輸出事件

押収ヘリ、性能を分析 韓国などにも不正輸出か ヤマハ発動機が無人ヘリコプターを中国に不正輸出しようとしたとされる外為法違反事件で、静岡、福岡両県警の捜査本部は24日、前日の家宅捜索で押収したヘリの性能の分析を開始した。 同社が輸出前に名古屋税…

りんりもいろいろ

「倫理なき経済は破滅」 経団連次期会長が会見 5月に日本経団連の次期会長への就任が内定している御手洗冨士夫副会長(キヤノン社長)が23日、内定後初めて記者会見し、証券取引法違反容疑で強制捜査を受けたライブドアについて「倫理なき自由経済は破滅…

ネット右翼論

愛・蔵太の気ままな日記 1/17日の記事経由で、社会派DS「ネット右翼の定義(改訂版)」を見る機会を得ました。 Web上で政治的発言を行う人のうち、次の4条件の中の2つ以上を満たす人を「ネット右翼」と勝手に定義しておきます。 1. 中韓を毛嫌いする。具体的に…

韓国人卵子斡旋>日本人不妊夫婦

以前の日記でも触れていましたが、韓国の女性の卵子を日本の不妊の方に斡旋するビジネス、これはもう不法なものとされているということの確認が取れました。 生殖技術のあり方をめぐる社会的合意の形成が難航する中、2003年2月以降、四百組を超える日本人不…

モラル・ハザード

モラル・ハザード(moral hazard)とは単なる倫理観の喪失や規律を欠いている状態のことではなく、もともとは保険用語で リスクに対して保険が準備されているために、リスク回避の意識が薄れ、リスクを促進させてしまうこと。 (経営用語の基礎知識より) です…

問題を糊塗しても…

ソウル大の黄禹錫教授の卵子売買疑惑について、現地のニュースなど追加情報がいくつかのブログで紹介されていました。 特定アジアニュースさんのところでは 卵子入手問題を報じた番組のスポンサーに不買運動 MBCピンチ、卵子売買疑惑報じた『PD手帳』に抗議…

黄禹錫教授謝罪

7時のNHKニュースで、黄禹錫ソウル大教授が一切の(教授職以外の)公的地位から降りる旨を述べた謝罪会見の模様を流していました。倫理的問題があったと認め、前面全面的な謝罪です。(NHKのサイトにはあげられていません)(→過去日記) 「卵子、部下2研…

卵子提供ビジネス

今年一月の生命倫理法施行以前の話に限定しますが、法的縛りのなかった韓国で、卵子提供やその斡旋がビジネスとして成立していたのは秘密でも何でもない話でした。ですからソウル大の研究で卵子提供者に金銭を渡していたことに対して、何が悪いのかという気…

生命倫理学

次の記事に少なからずショックを受けました。生命倫理学について前に書いたものをもとに、少しコメントしたいと思います。 [解説]揺れるソウル大ES細胞研究 卵子提供巡る疑惑 韓国側に説明責任 胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究で世界をリードする韓…

倫理的判断

昨日が締まらない終わり方だったのもあって(あとnucさんにトラックバックできてなかったですね。ごめんなさい。リンクを入れるつもりが最後に忘れてました)一応昨日のつづきでも。そんなにたいして書けないけれども。 倫理とは簡単に言えば「何が善である…

When in Rome...

昨日の日記で、ローマ議会の「金魚鉢の使用を禁止する条例」のニュースを紹介しましたが、 When in Rome, do as the Romans do. とは有名な諺ですので、私もローマに行ってまで文句をつける気はさらさらございません(笑) さてこれは「郷に入らば郷に従え」…