聖霊病院

 トーマス・マンの故郷リューベック(Lübeck)はバルト海に面する海港都市で、『ブッデンブローク家の人々』の舞台の町でもあります。この町の最盛期は14世紀から15世紀、ハンザ同盟の最古の主要なメンバーとして塩の取引他の商業で栄えました。

ブッデンブロークハウス Buddenbrookhaus
 マリーエン教会向かいのメング通り4にあるブッデンブロークハウスは、トーマス・マンの長編小説によって世界的に
有名になりました。歴史的な建物正面の後ろに近代的なハインリッヒとトーマス・マンのセンターができ、ここはマン兄
弟の人生と作品に直に触れるのに最良な場所。1階の常設展示では、マン兄弟の互いの関係についてと故郷リューベック
に対する関係について知ることができます。上階と地階では企画展示、会議、映画及びビデオ上映、そして朗読会が開か
れています。
(ドイツ観光局公式サイトより)


 この町には聖霊病院」(Heiligen-Geist-Hospital;Hospital of Holy Ghost)という名の施設があります。 これはドイツ全土で最古のHospitalとして知られるもので、その設立は13世紀とされます。ただしこの施設自体は1331年に建てられたということです。ヨーロッパの福祉施設の草分けですね。しかもこの施設、民間で建てられたという歴史を持ちます。

 富を貯えたリューベックの市民は、資金を出し合って社会的な弱者のための施設を作りました。「聖霊病院」は、
ドイツで初めての福祉施設です。病人や貧しい人、浮浪者たちがここに収容されました。はじめは170のベッドだけ
が置かれていましたが、19世紀には病気感染を防ぐための囲いが作られました。市民による市民のための施設、聖霊
病院はリューベック市民の誇りを今に伝えています。 
(NHK「世界遺産」リューベック関連リンク

 この「聖霊病院」という訳よりも「聖霊養老院・聖養老院」などの呼び名で日本では知られていたかもしれません。教会ホールや各部屋は現在博物館として、あるいはイベント貸し出し用の施設としても用いられていますが、ここの機能はnursing home(医療と福祉が一体となった施設)として今なお働いているとのことです。


 かつて"Kabäuschen" (cubby-holes)と呼ばれていた木造のコンパートメント、病者や貧者、助けを必要とする者が住んでいた個室は、ほんの一坪半ぐらいの見るからに病室という感じのものです。窓もないのですが、この間仕切りは広くて大きいホールの中に置かれ、個室の天井がないのでそこから光や風は入ってきます。
 この施設の詳細についてもっと知りたいのですが、ちょっと調べたぐらいでは資料はなかなかありませんね。さて、これでふと思い出したのは…

黒川紀章候補の構想

都心に低所得者向け住宅群…黒川氏が東京の未来像

都知事選への出馬意向を表明した建築家の黒川紀章氏(72)が22日、都庁で記者会見し、「首都機能の一部を移転し、都心に低所得者向けの住宅群をつくる」と自ら描く東京の未来像を明らかにした。


 黒川氏は公務員宿舎や省庁の一部を地方に移し、跡地を公園と住宅にする構想を披露。「国、都の予算を使わずにやってみせます。僕は都市計画の専門家ですから」と自信を見せた。(後略)
(2月22日22時27分配信 読売新聞)

 都民でない私には他人事ではありますが、ホームレスの人たちの問題、そして予備軍ともされてしまっているような人たちをどうにかするには、低家賃(あるいは無償の)住居を作るしかないとは思っておりましたので、このアイディアは一応買いです。もちろん黒川氏以外の候補者も、この考えにパテントはありませんからよくよく考慮されればいいですね。どこかでうまくいったケースができたら、問題全体に影響大と思いますので。