暖かい一日

 名にしおわば いざこと問わん四月一日(わたぬき)さん 今日まで綿を取らずありしや

 うちのあたりも午後から曇ってきたのですが23、4度もあったそうで、本当に暖かい一日でした。都内よりは遅れていますが、桜もこれで満開に近くなったかと見えます。地震があった輪島のあたりでも最高11度ぐらいあったそうです。雨が降らなかったのも何よりでした(明後日からの雨にお気をつけて)。人的被害が少なかったとはいえ、家がつぶれたなどの報も聞きます。ボランティアの人たちが数十人から数百人入っているというのも嬉しい便りです。早く復旧されますように。


 今日は少し離れたJRの駅のそばのスーパーマーケットに行きました。駅そばの一等地のテナントにも空きがちらほらあったり、人が多くない地方の町はやはりちょっと元気がない感じです。こちらのスーパーはそれでもあれこれ頑張っていて、正月二日に初売りで来た時には和太鼓のグループと獅子舞がいました。あれは得した気分になりましたね。そして今日は沖縄物産展でした。
 ちょっと冷やかしたのですが、いささかお安くない?価格設定かなと思いました。商品ラインナップの下の方が500円から600円ぐらい(一番安くて「ちんすこう(18個入り)」315円とか「フルーツチョコ(15個入り)」420円あたり)で、気軽に買えそうな「ご当地限定菓子」の類も大箱だったりして600円台から上ですね。そんなに菓子類は消費しないので、これはちょっと個人的に手がだせません。サーターアンダギーも10個で525円。買いそうで買わない微妙なところかと。
 食べ物だけでなくシーサーの置物とかミンサー織り各種などもありましたが、こういうのは現地で買ってこそ意味があるように思います。やはり買うなら飲み食いするものでしょう。
 乾燥パパイヤ(525円)、海ぶどう(840円)、乾燥ゴーヤー(40g 525円)、ゴーヤー茶(735円)、ウコン粉末(5040円)に琉球もろみ酸(2835円)。手が出そうで出ない感じです。決して高いとは申しませんが、今や通販でもいろいろ買えるわけですし。トーフーヨーも是非と思ったのですが、うーん5個入り1000円で小さかったのでふとパス。ソーキそば(100g×2)で1260円もちょっと…


 結局買ったのが、「レトルトソーキ汁(味噌味)」630円に「じゅーしいの素(炊き込み)」525円、そして島唐辛子(一瓶30g)840円といったところでした。
 それにしても特設売り場はちと閑散という感じです。結構スペースがあるんですが、数人冷やかしている程度。バイトのお兄ちゃんも一人です。こういうところでは子供を集めなきゃいけないですよ。子供がたかってれば賑やかですし、親も覗こうという気になるでしょう。そして子供集めのために「ご当地菓子」をいくらかバラにして売るべきです。大人だって興味がありますから、100円を切ったぐらいの菓子の一、二個はどんどん買ってくれたはず(もちろん私も)。そして値段のボリュームゾーンをもう百円下げて、ワンコインであれこれ買えるというぐらいにすれば良かったんじゃないですかね。できれば税込みで。


 せっかくの物産展なんですが、やや時化た感じでもったいなかったです。お兄ちゃんもあまりやる気がありそうに見えなかったですし…。こちらはちょっと贅沢した分楽しみますけどね。でもこの三品で2000円というのは、やっぱり手軽ではないですよ。

万愚節

 四月一日に友人知人をかついだりいたずらしたりするこの「まつり」の日のことについて調べてみました。


 この日の名称として英語ではApril Fools' DayまたはAll Fools Day、これを日本語にうつして「四月馬鹿」または「万愚節*1ですが、この頃はそのままエイプリルフールと言った方が通りがよいでしょう(メディアで「馬鹿」という言葉が避けられた所為もありそうです)。
 フランスではPoisson d'avril「四月の魚」となっていて、これはPesce d'aprile(伊)Pez de abril(西)というようにラテン系諸国に共通のようです。
 Aprilscherz(独)、Aprilscherz(蘭)、Aprilsnar(丁抹)などは「四月+冗談」、Dia da mentira(葡)は「嘘の日」。こちらのほうの国々は、日本と同じように「かつぐ日」として結構後からこの「まつり」の風習が入ったようにも思われます。


 そう言えばと今さらながら気付いたのは、April Foolと言うのが「騙された愚者」を指しているということですね。「四月馬鹿」の訳語が付けられた頃はこのニュアンスもあったのでしょうが、今の日本ではエイプリルフールという言葉が「エイプリルフールの日」自体を指していると思いますので微妙に違います。
 フランスのPoisson d'avrilもそういうカモになった人のことも指し、古典的ないたずらとして「背中に魚を括りつける」のが定番だったらしいです。またパティスリーにはこの日、魚の形をしたチョコレートが並んでいるとのこと。
 国によっては(アイルランドとかキプロス)エイプリルフールの日のいたずらが四月一日の午前中まで」とされているそうで、午後になって引っ掛けをする人が今度は

April Fool is dead and gone,
You're a fool to carry it on.

と、子供たちに囃したてられるそうです。


 さてその起源ですが、詳しいことはわかっていないとされるにせよ有力なのは「16世紀フランス説」です。
 それまでヨーロッパではユリウス暦が使われていたのですが、1564年にシャルル9世がフランスでグレゴリオ暦新暦)を採用したのがきっかけになった…というのがその大筋のところですね。(教皇グレゴリウス13世が発令した暦でしたから、カトリック国に先に受け入れられたという経緯があります)
 そして、これにはどうもローマ由来のHilariaという祭りが関わっているようです。それは、Cybele-Attis cult(キュベレー*2-アティス*3信仰)やIsis-Osiris cult(イシス*4-オシリス*5)信仰から続くもので、春(といいますか春分の頃。3/25からの8日間)に新たな豊穣を願って祝祭を行なうものでした。これがグレゴリオ暦の導入をきっかけにしてつぶされる(もしくはつぶされると人々が思った)ということがあり、それに対する抗議の意味で始まった「まつり」がPoisson d'avrilだということがよく言われているようです。なにせ自然発生的な風習ですし、いろいろな変遷を経ていますのでその起源に辿りつくのはとても難しいのでしょう。
 私は単純にかつての春分の祭、収穫祈念祭が「乱痴気騒ぎ」的意味(一度秩序を崩して、その再生を図る)で今のように形を変えて残存しているんじゃないかと考えますが…


 日本語版Wikipediaの次のような起源説明については元となる記述が見つけられませんでした。ここまで詳細なエピソードはどこから来たのでしょう。

    
その昔、ヨーロッパでは3月25日を新年とし、4月1日まで春の祭りを開催していたが1564年にフランスのシャルル9世が1月1日を新年とする暦を採用した。これに反発した人々が、4月1日を「嘘の新年」とし、馬鹿騒ぎをはじめた。
しかし、シャルル9世はこの事態に対して非常に憤慨し、町で「嘘の新年」を祝っていた人々を逮捕し、片っ端から処刑してしまう。処刑された人々の中には、まだ13歳だった少女までもが含まれていた。 フランスの人々は、この事件に非常にショックを受け、フランス王への抗議と、この事件を忘れない為に、その後も毎年4月1日になると盛大に「嘘の新年」を祝うようになっていった。これがエイプリルフールの始まりである。 そして13歳という若さで処刑された少女への哀悼の意を表して、1564年から13年ごとに「嘘の嘘の新年」を祝い、その日を一日中全く嘘をついてはいけない日とするという風習も生まれた。その後、エイプリルフールは世界中に広まり、ポピュラーとなったが、「嘘の嘘の新年」は次第に人々の記憶から消えていった。  (日本語版Wikipedia


 なぜ「魚(Poisson)」か、ということにつきましても諸説あります。春分の直前にかけて十二宮の魚座(2月19日〜3月20日)だからとか、魚しか食べれないレントの期間の延長だからとか、春の魚は幼魚で捕まえ(だまし)易いからとか。でもやはりこれはキリストやキリスト教の信仰の象徴として「魚」(ICHTHUS)があるからということではないでしょうか。(俗説ですが、ギリシャ語の「魚」イクトゥス(IXOYC)は、イエス・キリスト・神の子・救い主という言葉を並べた「縦読み」(アクロスティコ/各行、各段落にある最初の文字を読む)で読めるから…というものもあります)


 こういうふうに、エイプリルフールももとを辿れば結構普遍的な「春分の日のお祭り」につながっているというのは面白い発見でした。私も今朝からちょこちょこ「ジョーク」を仕掛けたサイトを覗いて喜んでいます。

(参考)
日本語版のWikipediaエイプリルフール
英語版のWikipediaApril Fools' Day
フランス語版のWikipediaPoisson d'avril
Britannica.com:April Fools' Day
Britannica.com:Hilaria
カンザス大学メディカルセンター:April Fool's Day
BBCの自由編集辞典:April Fool's Day
Howstuffworksの質問コーナー:Why is April 1 a day to celebrate foolishness?

*1:ちょうどAll Hollow's Dayを万聖節と訳すようなものです

*2:ギリシア神話の大地の女神。the Great Mother。穀物の実りと多産を象徴

*3:キュベレー神の息子であり愛人でもある神。生と死、再生を象徴

*4:エジプト神話の女神。オシリス神の妹であり妻。ホルス神の母

*5:エジプト神話の父なる神。生、死、豊穣を象徴