技能実習生がらみの事件

 以前にも採り上げたことがありましたが、また外国人研修生・実習生がらみの事件がニュースになっていました。
 実習生に賃金支払わず書類送検

 下妻市にあった縫製加工会社が、中国人の技能実習生3人に半年分の賃金およそ280万円を支払わなかったとして筑西労働基準監督署は、当時の経営者を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。
 書類を送られたのは下妻市にあった婦人服の縫製加工会社で去年2月に廃業した松田洋装の社長です。

 松田洋装は技能実習生として働いていた中国人3人に平成17年8月から去年1月までの半年分の賃金あわせて279万円あまりを支払わず、最低限の生活費として毎月2万円を3人に渡していたとして労働基準法違反の疑いが持たれています。
 3人の実習生は平成17年からこの会社で働いていましたが、賃金が給料日に支払われたのは最初の月だけで、その後は支払いが遅れ、最終的に支払われなくなったということです。
 調べに対して社長は容疑を認め、「経営が苦しくもっと早くに廃業することも考えたが、商売に固執して不払いを行っていた。申し訳ない」と話しているということです。

NHK水戸 07/06/01)

 外国人研修生・技能実習生の受入れは、財団法人国際研修協力機構(JITCO)が行なっています。これは日本の国際協力・国際貢献の一環として、開発途上国の人材を育成して母国に返し「経済発展と産業振興の担い手」になってもらうために行なわれているとされています。 1990年に研修制度が拡充され、さらに1993年には技能実習制度が創設されて今に至っています。
 技能実習制度

 技能実習制度は、研修期間と合わせて最長3年の期間において、研修生が研修により修得した技術・技能・知識が、雇用関係の下、より実践的かつ実務的に習熟することを内容とするものです。
入管法上の在留資格は「特定活動」です。

 もともと研修生にしても技能実習生にしても「安い労働力」でも「単純労働者」でもありません。技能実習生を受け入れることのできる機関の要件に「技能実習希望者と受入れ企業等との間に、日本人従業員と同等以上の報酬を受けることを内容とする雇用契約が締結されること。」と明記してあり、研修にしてからが「同一作業の単純反復でない業務」とされています。

 技能実習生は、受入れ企業との雇用関係の下に報酬を受けるものであり、労働基準法上の「労働者」に該当することから、通常の労働者と同様、労働関係法令、労働・社会保険関係法令等が適用されます。受入れ企業はこれを遵守しなければなりません。

 受入れ企業のメリットは本来「外国企業との関係強化、経営の国際化、技能実習生の労働力の確保等」ぐらいしかないのです。まあ中小の地方企業にとっては労働力の確保というところが唯一のメリットと言えるぐらいでしょうか。


 それにしても懲りない話があったものです。相手が外国人だろうが何だろうが普通に雇用関係を結ぶだけの話であって、働いてもらえるだけありがたいというところで済ませればいいのにどうして妙なところで無茶なことをするんでしょう。言葉がよくわからないから通報されないだろうという舐めた態度があるのでしょうか。それとも(前回のケースのように)同業その他から甘い話を聞かされて鵜呑みにしてしまうのでしょうか。
 こういうのはもっと話題になって、きっちり罰を受けるということが知られて欲しいものです。