リスク・マネジメントを阻害する精神論

 サッカー日本代表に関する記事は避けていたんです(単なるジンクス、験かつぎです)が*1、これはさすがに触れておきたいと思いました。今回の東アジア選手権で、日本サッカー協会日中友好のため」「中国で食事を現地調達する」ことにしているということだそうで、それはひどいと、無意味なひどさだと言わなければと…
 うかつにも気づいたのは下の御家人さんの記事を読んでのことでした。
 さすがは病豚、「君が代」にまたまたブーイング。

 ところが今回の東アジア選手権において、日本代表チームは日本サッカー協会の意向によって食品は全て現地調達。飲料水だけは持ち込むことを許されたそうです。


 自国の代表チームにコンディション維持のため極力良好な環境を準備するのが協会の仕事だと考えていたのですが、どうやら違うようです。


 大会が豚社会で開かれることを承知の上で、しかもその豚社会が4年前のアジア大会でブーイング&騒乱までやらかした反日傾向の強い前科持ちであることも承知の上で、それでも敢えて無策で通したというのは、牟田口廉也とか辻政信の生まれ変わりみたいな人間が協会を仕切っているのでしょうか。


 食の安全が保証されていない場所へ送り出して「アウェーに慣れろ」では、ガダルカナルインパールと同じではありませんか。無茶な部分は大和魂で何とかしろとでも?嗚呼ここにも豚がいたとは……。orz

 この記事でも引かれていたスポーツ紙の記事が次のものです。

 日本代表が最後に重慶を訪れたのはアジア杯を戦った04年夏。当時は日本人シェフが帯同し、最高の食生活に支えられた。しかし、日中友好の意図もあり、今回は水以外の食材を現地でまかなうことを決断。参加4か国が同宿するホテルで3食すべてを取ることにした。当然、ギョーザも避けることはなかった。
スポーツ報知 2月14日 強調は引用者)

 リスク・マネジメントというものと精神論は本当に相性が悪く、上で御家人さんが正当になぞらえているように、旧日本軍にはこの発想がなかったために無駄に兵士たちを死なせてしまったというのはよく言われるところ。準備不足が言われれば「根性でなんとかする」とか「そういうことはない」などとリスクを直視せず、局地戦で負ければ「次は必勝の心構えで臨む」と言ったりリスク分析する前に責任者が自決してみたり。挙句の果てには「適切ニ対処セヨ」*2と責任を放棄してしまったり。
 全然リスク管理の発想がないというのは今考えてみれば驚くほどですが、いまだにそういうことが理解できていないみたいですね日本サッカー協会は。


 いくら当局が止めてもブーイングはあるだろうと、それは想像できていました。そこまで統制することは中国当局でもできないでしょうし、今さらそれを云々しても仕方がないところ。ですが、そういうアウェイで戦う代表選手たちにはせめて他の面で後顧の憂いがないようにしてあげなければ、何の代表なのかわかりません。
 彼らのリスク・マネジメントと「日中友好」なんていうのは全然異なった次元の話のはず。誰が、何に、何のために気を遣うのか意味不明です。毒餃子のカウンター宣伝でもしてあげれば恩に着てくれるとでも?馬鹿馬鹿しい限りです。


 どれだけ心が強くても悪いものを食べれば体調を崩しますし、もし今回食事にあたらなかったとしてもそれは運否天賦の無駄なサイコロを振ったということにすぎません。なぜこうお偉いさんたちにリスク・マネジメントの発想がないのか、これはもう国民性の負の部分なのかとまで、ついつい悪い想像をしてしまいますね。精神論好きは百害あって一利なしです。

*1:この頃ちょっと思うところがありまして

*2:ノモンハン事件の時、殺到するソ連軍の戦車隊という報に接した東京の大本営が打電した言葉