全国学力テストの話(つづき)

 先日書いた「全国学力テストの結果公表」という記事にトラックバックをいただきまして、そこには

 その結果をどう捉えどう活かすかを各学校に問ってどういうことなのでしょうか?id:uumin3さんは 例えばどう活かすことができると考えておられるのでしょうか。


わたしには全く分からないのですがねえ。
id:noharra:20080927:p3)

 と書かれていたのですが、はて? むしろ何が「全く分からない」かが私にはわからないですね。


 文部科学省の「全国的な学力調査について」あたりからたどると、たとえば「平成20年度 全国学力・学習状況調査 調査結果のポイント(pdf)」(国立教育政策研究所)などを見ることができます。
 ここでおおよそ見える出題意図は、単純に「知識」と「活用」の側面でのリテラシー、ニューメラシーの習得度合いを見るということになっていると判断されます。


 義務教育で全国的に習得すべき必須の内容を決めて、それをできるだけ平等に学ばせるという点では文部科学省が責任を担っています。ですからどこがどう足りていないのかを知る手がかりとして、全国共通の問題でそれを見るということ自体に特段の問題があるとは思いません。


 問題があるとすれば「序列化」を気にする向きの意見ですが、それは単にナンセンスではないかと先の記事では書いたつもりです。
 その結果をどう捉えどう活かすかを各学校に問う「学校へのテスト」、というのでまず思いつく(はず)なのが、それぞれの生徒における「知識」と「活用」の不足を把握してそれを補う工夫です。単純にどこそこの方面で弱い生徒が多いと判断されれば、クラスもしくは学年単位でそれを補う努力を考えるとか、その方向で十分な学校に教えを請うて良い方法があったら導入するとか…


 これが「全く分からない」となりますと、もはや何をどう説明したらいいか考え込んでしまいますね。


 漠然とした印象論で「昔より学力が下がった」とか、「最近の子は知識がどうこう」とか勝手な議論をされるより数段ましなたたき台になると私は考えます。まず序列に目が行ってしまうような人は考えが足りないのだと言って差し上げましょう。学校側は、相対的に弱い部分を見つけて自己診断することができるんですと言ってあげて、うちではこうしますよと方針を提示してそれを実行するなら(ある程度の結果が伴えば)きっとわかってもらえるものと思います。

追記

 「日教組強いと学力低い」中山説、調べてみれば相関なし
 まさにこういったいい加減な印象論をあっさり否定できるという意味で、少なくとも功罪の功の部分があると言えるのではないでしょうか?