ヘイト云々で思い出した事件

 ⇒ヘイトスピーチは存在しない(Thscさんのサイト)

 『ヘイトスピーチ』という単語自体、言論に規制をかけるべしという思想に基いて用いられる単語。


 すなわち『ヘイトスピーチ規制をどう考えるか』という問いかけはそれ自体、規制されるべき言論があるという前提を所与のものとして認めた上での応答を強いるもの。


ヘイトスピーチ』と呼称した時点で、規制すべきとするバイアスが用意されている。


 差別・偏見・憎悪に基く発言に全く問題がないとするものではないが、そのような偏向したスタートラインを用意する問いかけには乗れない。

 Thscさんはポジショントークのようなものをお考えなのでしょうけれど、こういう規制は一度「システム」として働いてしまえばポジションに関係なく動いてしまうもの。私はそういう意味で規制を危惧します。*1


 かなり以前に拾って紹介したこともある記事ですが、
 ⇒WA州14歳アボリジニ少女、暴行行為で起訴 人種憎悪犯罪

 パース2日ーWA州の人種憎悪に関する新法律のもと、アボリジニ少女(14歳)が2日、人種憎悪による罪で公判に出廷することになり、同法律が導入されて以来初めての被告となる。


 少女は、4月にWA州のGoldfields(ゴールドフィールズ)地域のアボリジニではない女性(19歳)に暴行を加えた3人のアボリジニ少女のうちの一人。14歳の少女はその後、人種差別的な発言をし、中傷罪で再度逮捕された。


 同少女は2日、Kalgoorlie(カルゴーリー)児童裁判所に出廷する予定。WA州裁判所では、今回が人種憎悪に関する新法律のもと起訴された最初のケースとなる。
(2006年08月02日)

 オーストラリアで「ヘイトクライム」カテゴリの立法がなされて、その最初の逮捕者が14歳アボリジニ少女なんですよ。
 ある種の表現は弱者差別だという具合に論陣を張られ、表現の規制の方向で語られている方々はこういう事実にも目を向けられるべきではないかと思います。
 それこそ「弱者」として守るべきとお考えになるような人の表現すら、規制は網にかけるものなのですから。

*1:Thscさんのこの記事自体については考え中です。すみません。