歴史修正主義という言葉
中国新聞の「資料館展示見直しに中韓の声」の記事を採り上げた、痛いニュース:【広島】 原爆投下は「日本の植民地支配から解放」とのアジアの声が根強い…原爆資料館展示見直しに中韓などの委員を起用へについて、いろいろなブクマ意見がついていますが…
ここで頭に浮かんだのはHistorical Revisionism 歴史修正主義という言葉の使われ方についての次の言及でした。
なおアメリカに於ける歴史修正主義とは専ら「原爆投下は正しくなかった」と主張する人々を批判する為に用いられることがほとんどであることにも留意する必要がある。ただ日本語に翻訳された場合、歴史修正主義という言葉は用いられないことが多い。
(Wikipedia 日本語版「歴史修正主義」より)
つまりこのHistorical Revisionismという語は、「原爆投下が正しかった」というアメリカの「(政治的に)正しい見方」から外れて原爆投下についての不正義を語ろうとする人に、歴史修正主義者め!(=正しい歴史を勝手に改竄する奴)みたいなラベリングをするのに使われていたということです。
何かおそろしく傲慢に思えませんか? この語の一つの出自はそんなものらしいんですよ。
歴史は、新史料が出てくるとか新解釈が出てくるとかで柔軟に変わるものだと思ってきました。歴史学だったらそれは当たり前の方法論じゃないかなと考えます。でも「正しい歴史」があって、それに手をつけようとすれば「修正主義者!」とか呼ばれるとしたら、それはもう政治でしかないでしょう。どのイデオロギーでも自分(の見方)は正当と思うものです。できれば歴史についてはそういうイデオロギーとは離れたところでの議論が可能になって欲しいものだと願いますし、その意味もあって私は「歴史修正主義者」とかいうレッテル貼りはしませんし、この言葉を使う人に基本的に信は置かないようにしています。
(※参考⇒6/3の日記で少し言及)
出生率上昇
2006年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数)が6年ぶりに上昇し、1.3台に回復したことが29日明らかになった。景気回復による雇用改善で、1971―74年生まれの団塊ジュニア世代を中心に結婚・出産が増えたのが主因。ただ出生率の上昇基調が今後も続くかどうかは未知数で、少子化対策や成長力引き上げに向けた政策努力は必要になりそうだ。
厚生労働省は06年の出生率を6月上旬に発表する予定。05年の出生率は過去最低の1.26だったが、06年は0.05ポイント上昇し1.31になったもようだ。これは02年(1.32)以来の高い水準になる。
(NIKKEI.NET 5/30)
6月はじめあたりに厚労省の発表があれば、またいろいろ議論が始まるでしょう。
それにしても折角の朗報のわりにはこれに触れる人が少ないですね…
裁判員忌避裏マニュアル
昨日あたりニュースになっていた東京地裁での裁判員模擬選任の様子をみて、将来問題化するかもしれない裁判員忌避の簡単な方法が浮かんできました。
裁判員は20歳以上の有権者から抽選で無作為に選ばれます。しかしその手続きは、まず候補者名簿がつくられ、その中から裁判員候補者が「呼出状」で裁判所に呼ばれ、そこで裁判長による質問などが行われて正式な6名(場合によっては4名)の裁判員が決定されるという仕組みです。
この裁判長による質問の時に、わざと偏見まみれの意見を言うことによって選任されないで済むとしたら、やる気のない者は「半日」ほどの手間だけで御役御免、解放されることになるのではと思ったのです。
裁判員制度の目的は、裁判を身近なものにすることや一般の人の感覚・常識を裁判に反映させることとされています。そのため、多忙や自信の無さを理由に辞退することは許されていません。高齢や疾病、介護ややむを得ざる理由などがなければ、裁判所が辞退を認めないのです。
主な免除事由は(1)70歳以上の人、(2)学生または生徒、(3)一定のやむを得ない理由があって、裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人。(例えば重い病気、けが、同居の親族の介護・養育、事業に著しい損害が生じるおそれがある、父母の葬式等)
裁判員は年間におよそ2万5千人が選ばれると推測されています。これから、国民の67人に一人が一生のうちに一度は選ばれるだろうという試算がなされます。決して少なくない確率です。
テレビでは裁判所に呼び出された人にカメラが張り付いて、その選任の経緯が紹介されていたのですが、呼出状が来てから万障繰り合わせて裁判所に向かった20人のうち14人までが昼過ぎには帰ることができていました。つまり呼び出されるのは仕方がないとしても、そこで最後の6人にさえ選ばれなければ(日当がでるとしても)何日も拘束されるのは避けられるのです。
裁判員が加えられることになる事件は、殺人、強盗致死傷、傷害致死、身代金目的誘拐、危険運転致死罪、保護責任者遺棄致死罪などが考えられています。つまり重い罪とされるものがほとんどで、その責任は相当の重圧になるかと思われます。また一週間やそこらで簡単にかたが着くものとも考えられないでしょう。
各種の調査でも、現時点で裁判員制度に参加したくないと考えている人が多いことがわかっています。いやだと本当に思う人にとっては、どうすれば裁判官の心証が悪くなって選任されずに済むかの「裏マニュアル」的なものができれば、それに飛びつくのは必定ではないかなと思いました。
私はむしろやってみたいという気持が強いのですが、いずれこの簡便な忌避法(半日だけで解放)が知られ、対策のマニュアルが(ネットなどに)登場してきたら、それが大きな問題になるような気がしてなりません。