女がいない新撰組の隊士

?新撰組の隊士で(支えてくれる)女性がいなかった男はいるのか?



 先日はてなで答えたものです*1。質問の主旨は微妙に外していたかもしれませんが、取りあえずストレートに答えてみました。(→備忘)

 隊士に女が「いなかった」ことを言うのは悪魔の証明じみていますが、いくつかの理由から平隊士の馬越三郎が女を持たない隊士であったろうと推測します。


以下、子母沢寛新選組始末記』より引用します。


 嫌われ者の武田(観柳斎)が、深く思いをかけた美少年が阿州徳島の浪士で馬越三郎、まだ十六であった。全く絵に見るような若衆姿で、勤めがなくてぶらぶら遊びに出る時などは、紫色の着物に、大きな模様ものの絹の袴をつけ、笑う時でも、恐れる時でも、表情はまるで若い女であったという。

 こんな物優しい男ではあるが、諸国浪人の集合している新撰組に入って来るほどのものだから、剣術がなかなか上手で、面をつけて竹刀を持つとまるで別人のようであった。これを武田が身のほどを知らず一生懸命で口説いたものだ。口説いたとて…馬越が色よい返事をするわけもなく、あまりうるさいので、とうとう副長の土方歳三へ訴えた。
……
「武田がこんなこと(粛清・切死)になったのは、馬越が近藤先生へ密告したからだ」ということが、誰いうとなく隊中へ広まったので…こんな事にはすこぶる敏感な土方歳三である。すぐに馬越を呼んで、
「君は、ひとまず故郷へ帰っているほうが宜しいと思う。隊としては充分なことはしてやる」という。
 馬越は、今更阿波の田舎へ入りたくはないが、せっかく土方の言葉なので、相当まとまった金を土産に、間もなく隊を退いてしまった。


 それで推測の理由は
理由1 馬越がまだ16歳であったこと。(この年齢で女を囲うことは考え難い)
理由2 武田が衆道の相手として目をつけたこと。(はっきり色女が居れば、言い寄らないと思われる)
理由3 入隊から時間を経ずして除隊したこと。(だから新撰組でいた間は女がいなかった可能性が高い)


 他は目ぼしい理由がつくような人は見当たりませんでした。「小説」を資料にするわけにも参りませんので、女が居たという証言・証拠のある人以外で、推測に足る材料のある人はこの人ぐらいかなと思います。

 おそらく思う女の人、目をかける女の人がいても、その人を「心の支え」にしないタイプの人も新撰組では(というかあの時代では)少なからずいたかも知れません。
 そういう内面のことは別にして、継続的に付き合う女性がいなかったであろう人をわずかな資料の中でちょっと見てみての結論でした。



 でもたぶん、馬越氏が童貞であったはずはないとも思いますが…

*1:トラックバックは打たずに文だけ掲載します。