気がかりな「はやぶさ」

 「はやぶさ」のホームポジション到着と現在の探査機の状況について

 探査機の現在の状況−ホイールの不具合について


 「はやぶさ」には、既にお知らせしておりますように、本年7月31日に、リアクションホイール(姿勢制御装置)3基のうち1基(X軸)に不具合が生じ、2基による姿勢維持機能に切り替えて順調に運用を行っておりましたが、10月3日8:30ごろ、もう1基のリアクションホイール(Y軸)にも不具合が確認されました。異常発見後、ただちに復旧作業を試みましたが、現状、回復に至っておりません。


 確認された機上で障害が発生した時刻は、10月2日の日本時間23時08分(日本からは非可視)でした。

 続報を待っておりますが、なかなか新たな展開もなく気がかりな状態です。ただ(サンプル収集を含めて)イトカワ周辺での活動には、本来帰還時に使うはずだった姿勢制御システムも使えますので当面の問題はないようです。

 探査機の小惑星近傍での操縦(航法、誘導)に関しては代替手段があり、目下の運用には支障がありません。

 ただ「はやぶさ」が最終的に地球に戻ってこれるかということだけが心配です。
 下の記事ではもう少し詳しいことが書かれています。
 小惑星探査機「はやぶさ」ピンチ、姿勢制御装置が故障

 宇宙航空研究開発機構JAXA)は4日、世界で初めて小惑星の破片採取に挑む小惑星探査機「はやぶさ」の姿勢制御装置が故障したと発表した。


 別のシステムを作動させてしのいでいるため、燃料不足で予定どおりの計画をこなせない可能性がでてきた。


 はやぶさは2003年5月9日に打ち上げられた。現在は目的の小惑星イトカワ」まで7キロ・メートルの地点から観測を行っている。
 11月に1秒間の着地を2度繰り返し、5グラムの金属球を秒速300メートルで表面に打ち込んで砕け散った岩石破片を採取、12月に小惑星の周りから離れて07年6月に地球帰還する計画。


 はやぶさは3基の装置で姿勢を制御していたが、7月31日に1基が故障、さらに10月2日夜に新たな1基が停止した。復旧の見込みはない。
 そのため、通常は小惑星への降下や地球への帰還時に用いられる12台の姿勢制御用ジェットを使用。当初の計画よりも燃料消費のペースが速まり、しかも、姿勢制御の精度が劣るため、細かい観測や地球に大容量のデータを送ることが難しくなった。


 同機構の川口淳一郎教授は「探査機のソフトウエアの書き換えや運用によって燃料消費を抑えられるかを検討し、来月初めに今後の計画について結論を出す。地球帰還はあきらめていない」と話している。


(2005年10月4日22時14分 読売新聞)

 プレート投下の成否ももちろん個人的に気になりますが、何より「はやぶさ」の無事の帰還を祈りたいと思います。