動物愛護

 といいますか、「ちょっとした愛情と引き換えに、その存在で我々の生活を満たしてくれる動物たち」のためにできる限りのことをしてあげようと思う精神は買います。ただ動物虐待禁止についての理論的基盤は、生命倫理学の文脈では「(苦痛や恐怖に対する)感受性(sensibility)」が当該の動物にあるはずだという一点にかかってくるものと私は認識しております。
 果たして魚類にその感受性を認めるのが是か非か。これがもし是ならば、魚を生きたまま食する「踊り食い」や「活け造り」は惨いことと考えられてしまう可能性すらあります。魚類を食文化に大きく取り入れている日本人だからかもしれませんが、はっきり言って球状の金魚鉢を禁ずるなどとは「過保護」にしか過ぎないと思われます。そういうもので「文明の高さ」をはかられたらたまったものではありません。


 せめて類縁の哺乳動物に関してのみ「虐待」云々は言われるべきかと思います。(ただそうなると今度は鯨という哺乳類のことが当面の論争の焦点になるかもしれませんが…)

幼児図式

 余談ですが、動物行動学のローレンツが1950年代に提唱した「幼児図式」というものをご存知でしょうか?
 これは現在確かなものとして通用している学説ではありませんが、こと哺乳類の幼体を見るにつけある程度の説得力があるなあと思ってしまう考え方です。


 ローレンツは、ヒトに限らず哺乳動物の親が幼体を保護し養育したくなるのは、私たちの中に『可愛い』という感情や養護反応が解発されるからであり、それは幼児(赤ちゃん。ヒトに限らない)が持つ容貌の視覚刺激に起因するものではないかと考えました。彼は特徴的に見出したその形態を「幼児図式」と呼びます。


 その幼児図式とは

・身体に比して大きな頭 
・前に張り出た額をともなう高い上頭部 
・顔の中央よりやや下に位置する大きな眼 
・短くて太い四肢 
・全体に丸みのある体型 
・やわらかい体表面 
・丸みをもつ豊頬 

 などの特徴で表現されるものです。


 これはそのままアニメ絵柄の一部に思えたりしますが(たとえばアトム)、さて…(笑)