W杯抽選

 柏だって降格し山梨がJ1。何が起きても大抵のことには驚かず踊らなくなってきているわけですが、W杯の組み合わせで(すべてとは言いませんが)なにやら悲観的な意見が多いように感じてしまいます。


 W杯に日本が初めて出場できたのが前々回からですから、それが如何に出場すら難しいものかは承知のはずです。言い換えるならば出場できたということはある程度の実力のあることの証明です。まして仮初めにも日本のFIFAランク順位は低くありません。どうしてそんなに悲観的に語られねばならないのか、当惑を通り越してなんだか怒りにも似た感情が湧いてきます。


 敵を知り己を知れば百戦殆うからず。対戦相手の良いところをあげつらって強さを語るのは別にいいのですが、どうして今からそこまで危機意識を持つ必要がありましょう。むしろ日本代表をあまりにも低く評価する意見が多いような気がしてげんなりです。相手から見れば十分日本も怖いのです。


 敗けた時のショックを和らげるため? それにしては早すぎませんか? 組み合わせ抽選で勝敗が大体わかってしまうならば、抽選会が終わった時に表彰式でもやればよいでしょう。また勝敗の予想が完璧にできる人がそうそういるのでしょうか? もしいるのなら賭けなど成立しません。本番の試合は一発勝負です。ましてサッカーですから、大物喰いはもちろんのこと、実力差があるときの引き分けだって相当多いでしょう。


 ブラジル、上等じゃないですか。A代表ではありませんが、アトランタでは番狂わせで日本が勝ちました。シドニーではブラジルに負けても予選は突破しています。またコンフェデでは二度連続の引き分け(まあ前者はブラジルが評価できない状態でしたが、後者はベストメンバーではなかったかもしれないですがブラジルは強かったですよ)。これだけ闘えているのですから、そこらへんの中学生のチームがブラジル代表とあたるような「絶対負け」みたいなことを言う必要はありません。


 まあもし日本の他の三チームが全部ブラジルだったら私も諦めるかもしれませんが、クロアチアとオーストラリアでしょう? 実力はブラジルほど離されているわけがありません。
 何か抽選の後ですぐにこれだけ悲観的な言われ方をすると、ちょうどバブル崩壊後に「景気が悪い、景気が悪い」とだけ言い続けてきた(というか未だに言っている)だけの無能な経済評論家たちのようです。現状分析の一つもできずに、ただ悲観的な予想をしてみせればいいというような…。


 本当に戦わなければならないのは代表選手です。私たちは応援することしかできませんから、もし不安があったとしてもそれを表面に出して私たちにいいことなどなにもありません。百害あって一利なし。よしんば試合に負けても叩かれるのは彼らです(私はちゃんと戦えば絶対に叩きませんが)。応援する側は膨らんだ夢が萎むぐらいで、何も失わないところにいるんじゃないですか。だからこそ、景気の悪いことをいうってこと自体が、私にはあまり理解できません。
 それが冷静な分析、評価だったとしても、今は勝つためにどうしたらいいのか、それを語るべき時でしょう。こうすれば勝てるのではないかと、そうやって気持ちを盛り上げればいいのです。「もうだめだ」みたいなことを言っている場合ではありません。勝負はやってみなければわからないですし、それに応援が必要なら私は惜しみなくリソースを出しましょう(ドイツにはいけそうにないですが…)。


 己を知り、また敵を知るのは、本来戦いに勝つためです。敵を知り、そこで意気阻喪するぐらいなら戦いなどしないほうがよいと思います。ここは不安を抱えていたとしても、ひとつ踏ん張って、エールを代表に送るようにしましょう…と呼びかけたいです。