ジニ係数2

 昨日書き留めた山口浩さんのジニ係数に関する記事に対して、bewaadさんのツッコミです。
「格差」を考える 第2回:日本の所得格差は国際的に見てどうなのか

 山口さんのソースは世銀ですが、大きな違いとして調査時点が2000年でほぼ統一されている点が挙げられます(ベルギー、スペインが1995年、オーストラリア、オーストリアギリシアが1999年、ドイツ、ルクセンブルグニュージーランド、スイスが2001年、チェコ、メキシコ、トルコが2002年である以外は2000年)。世銀の集計において日本は1993年の計数が示されていて、他方OECDのペーパーでは1980年代半ばからの推移も示されており、上記2000年の係数から推移の幅で逆算しても合致しないのでベースが違うのでしょうけれど、OECDのペーパーによれば日本のジニ係数は1993年から2000年にかけて悪化してきています(80年代半ばから90年代半ばにかけて1.7ポイント増、90年代半ばから2000年にかけて1.9ポイント増)。

 依拠するデータによって見え方が違うのは当然のこととして、より新しいデータが出てきたことには感謝です。
 でもbewaadさんが「参考までに」と出してきた合成貧困指数(the composite poverty index)ですが、これについては「貧困」の定義がその国の所得のメジアンの半分未満というところにおかれていますので、やはりそれは相対的な数値としてしか意味がない、と考えられますよね。過去日記のコメント欄でもそこらへんを申したことがありますが、全体のレベルが悪くない今の日本では、それを問題にしてもなあとは思ってしまいます。
 不平等というものに関しては、各自がどれだけそれを気にするかという問題にも思えますし、単純にそれを悪とおいて議論はできないように考えるのですが…。