介護者へのセクハラ
ホームヘルパーに対するセクシュアルハラスメント(セクハラ=性的な嫌がらせ)が問題になっている。大学講師がこのほどまとめた全国調査では、4割のヘルパーが被害を受けた経験があった。早急な対策が求められている。(斎藤雄介)
昨年5月、横浜市でチーフ(主任)ヘルパーの根本順子さん(48)と、50代の女性ヘルパーが、70代の男性利用者の自宅を訪れた。
体にまひのある男性をベッドから起こそうとした時、男性がヘルパーの胸を触った。ヘルパーが怒ると、男性は「怒られると興奮する」と言い、その上、「ズボンをおろしてくれ」と発言した。
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根本さんの相談を受けて、所属する横浜市福祉サービス協会総合労働組合では、チーフヘルパーにアンケートを行った。
すると、多くが「セクハラを受けた経験がある」と答え、中には「訪問すると全裸でいたり、アダルトビデオを流して反応をみたりする」「利用者ではない家族が、2階にヘルパーを呼び出して抱きついてきた」などの悪質なケースもあった。
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八戸大学(青森県)の篠崎良勝・専任講師(介護労働学)が今年、青森、東京、岡山など10都道県で500人の介護職員に調査した結果、ホームヘルパーの41%が、利用者や家族から性的嫌がらせを受けた経験があった。
嫌がらせの内容は「不必要に手を握ろうと求められた・実際に触られた」23%、「利用者の性体験を聞かされた」20%、「不必要に胸や尻を触ろうとされた・実際に触られた」18%、「性体験についてたずねられた」12%、「自分で体を洗える利用者から陰部を洗うように求められた」9%――など。
被害を受けたヘルパーの64%が「不快になった」「仕事の能率が落ちた」「転職、退職したくなった」などと感じていた。
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ヘルパー経験のある柴田範子・東洋大学専任講師(介護学)は「利用者を手助けするために身体的に接触し、精神的にも支えていく仕事であることが背景にある」と話す。
「手を握ってほしい」と利用者に言われたとき、寂しさから触れあいを求めているのか、セクハラなのかを見極めることは難しい。
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「恥ずかしいから、わかってもらえないからとあきらめず、私は嫌だという声をあげてほしい」と柴田さん。
「高齢者の性はタブー視され、実態も隠されてきた。高齢者の性を直視し、職業人の誇りを守るため、セクハラについての研修も必要」と柴田さんは訴える。(後略)
(読売新聞 大手小町>ニュース)
これは表に出てきただけでもかなりの前進ということでしょうか。知人から多少似たようなことは伺ったことがありました。表沙汰にしにくい雰囲気というものがあるそうです。もちろん「かわいそうなお年寄り」とかいう考えだけでは何の解決にもつながらないのは確かでしょう。介護職も歴とした職業ですから、同情とか何かよりまず職場環境の改善に努めなければいけないと思います。
さて、70代の身体に麻痺のあるお年寄りには「セクハラ」の懲戒は必要ないのでしょうか。それとも毅然とした態度で臨むために、警告して、繰り返すようであれば何らかの罰を与えるべきでしょうか。それは、もっと若く社会的地位のある人にも同じ態度として採られるべきものでしょうか。それともお年寄りは多少は大目にみてもらえるということになるのでしょうか?
同じ行為に同じ処罰という原則を、この場合はとらずにおくということが正しいのでしょうか。考えれば考えるほど究極の質問じみて参ります。