ホテル・ルワンダに関わるやり取り(党派性エラー)

 これを傾向性・党派性の争いに還元してしまうのはあまりに残念。それで終っても実りは少ないと思います。そういうものに拘ってしまっている自分を、ちょっとだけ反省してみましょう。
 陰謀論と似て、党派性が見えてしまうと意外に目が曇って次のようなエラーを起しがちです。

党派性(ウヨ・サヨ)エラー

投影エラー: 対象ブログの党派性が自分と似ている場合に、相手を理想化し甘く評価してしまう。


対比誤差:自分自身とは異なる党派性の者に対して、過小評価をしてしまう。


ハロー効果:対象ブログがいくつかの記事で自分と同じ党派性だったり、反対だったりすると、それが先入観となりほかの全部の記事もその色に染まっていると考えてしまう。


極端化傾向:本当はBの評価の記事なのに、同じ党派性だとA、反対だとCのように「良い/悪い」と極端な評価の記事にしてしまう。


中心化傾向:極端化傾向と逆で、党派性が見られない記事では正確な評価ができず、なんとなく平均値の評価をつけてしまう。自分の主張に自信がないとき、もしくは過信しているときにありがち。


近時点評価/直近効果:そのブログへの自分の印象が、ごく最近の印象=記事や態度、ちょっとした自分の立場への敵意を感じさせるようなコメントに引きずられて評価を考えてしまう。


先入観評価:過去の印象や思い込みに基づいて評価を行ってしまう。


倫理的錯誤:たとえば自分と同じ党派性を持っていれば、責任感が優れているとか弱者に優しいとか一つの固定観念を持ってしまい、多様な記事の要素を結びつけ、かなりな部分を捨象して評価してしまう。とんちんかんなコメントを生じさせる大きな原因。


寛大化傾向 :対象となる問題への配慮が自分と似ていると思い、実際よりも高い評価をする。自分がそのブロガーよりも問題がよく見えていない場合などに起こりやすい。


厳格化傾向:自分と異なる問題の捉え方が劣って見え、辛く評価してしまう。自分がたまたまその問題に詳しかったりする場合などに起こりやすい。


メイキング:そのブログのウヨ度・サヨ度を最初から決め付け、それによる総合点を最初に決めて、それにあわせて各要素を評価してしまうこと。


政策評価自分の立場への影響を考慮して、故意に甘く評価すること。

 以上のようなことはよく起こりがちです。党派性(ウヨだのサヨだの嫌韓中だの媚中韓だの…)を意識したり、引きずられても面白い議論にはなりません。町山氏の日記に始まるホテル・ルワンダに関しての様々な意見を、党派性を背後に見るようになってはちょっと台無しです。
 特にfinalventさんのこの記事から始まるいくつかの反応でそう感じた次第。


ネタ元

 なるもにあさん@DREAM/ING111「人を評価する、ということ」より。
 元記事では

ちょっと面白い人事考課傾向(考課エラー)を集めてみました。
人事部の皆様にはお馴染みの用語ばっかりですが、
これって通常の人間関係にもあてはまらない?
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・投影エラー: 対象者社員の性格が自分と似ている場合に、相手を理想化し甘く評価してしまう。

・対比誤差:自分自身とは異なるタイプの者に対して、過大評価あるいは過小評価をしてしまう。

・ハロー効果:対象社員が、一つの効果要素にとくに優れていたり、反対に劣っていたりすると、それが先入観となりほかの全部の要素も優れているとか、劣っていると考えてしまう。 
 …(後略)

 というように、人事の話から人間関係一般の話へと話題を振られた記事でした…
(※なるもにあさん、ありがとうございました)