日本と北朝鮮は非対称

 ちょっと熱くなってしまったのですが、こんな質問がはてなでありまして
 【北朝鮮拉致被害者の子供は本当は「帰国」したくなかったのでは?】 拉致被害者の家族が「子供を連れて」数年前に「帰国」しました。 日本生まれの拉致被害者はともかくとして、北朝鮮で生まれ育った「子供」は、 北朝鮮国内の友達、あるいは恋人・婚約者と生き別れさせられて 「イヤイヤ日本につれてこられた」のかもしれないのに、マスコミは 「子供も日本行きを切望していた」かのような報道をしてました。 これっておかしくないですか? 拉致被害者はともかく、その子供は一種の「逆拉致」じゃないですか? それから、北朝鮮生まれの子供に「帰国」という言葉はオカシイ、 「出国」ですよね。 北朝鮮の国籍法が出生地主義なら、子供は北朝鮮国籍を有しています。 あと、もしその「子供」に胎児・乳児がいたら、その子 (被害者から見れば「孫」)も「日本に来るべき」なんでしょうか? 拉致被害者の直系卑属であれば、「大和民族の血が」2分の1しかなくても、 4分の1しかなくても、日本に帰るべき? http://itaru-m.hp.infoseek.co.jp/p/40-2.htm

北朝鮮拉致被害者の子供は本当は「帰国」したくなかったのでは?】
拉致被害者の家族が「子供を連れて」数年前に「帰国」しました。

日本生まれの拉致被害者はともかくとして、北朝鮮で生まれ育った「子供」は、
北朝鮮国内の友達、あるいは恋人・婚約者と生き別れさせられて
「イヤイヤ日本につれてこられた」のかもしれないのに、マスコミは
「子供も日本行きを切望していた」かのような報道をしてました。
これっておかしくないですか?
拉致被害者はともかく、その子供は一種の「逆拉致」じゃないですか?

それから、北朝鮮生まれの子供に「帰国」という言葉はオカシイ、
「出国」ですよね。
北朝鮮の国籍法が出生地主義なら、子供は北朝鮮国籍を有しています。

あと、もしその「子供」に胎児・乳児がいたら、その子
(被害者から見れば「孫」)も「日本に来るべき」なんでしょうか?
拉致被害者直系卑属であれば、「大和民族の血が」2分の1しかなくても、
4分の1しかなくても、日本に帰るべき?

http://itaru-m.hp.infoseek.co.jp/p/40-2.htm 


 これに次のように答えました

 日本にいる人は基本的に北朝鮮へ行く自由を持ちますが(北が入国を承諾すれば)、北朝鮮にいる人は日本へ(たとえ旅行でも)渡る自由はもちません。志操堅固と認められたり、人質的な人・モノがあったり、一部特権階級だったり、そういう人だけが来れる時があるのみです。


 北朝鮮で生まれ育った「子供」でも、あるいは拉致被害者ですら行こうと思えば北朝鮮に行ける状況と、自分の意志による移動の自由がない状況。これはまったく非対称のものです。


 お書きになった文、あるいはリンク先のいくつかの論は、二つの国という括りだけであたかも日本と北朝鮮を同等の対称的な二国とされているようですが、その性質を異にする二つのものを同列に語ることは誤りです。そして少なくとも、北朝鮮で生まれ育った「子供」たちは成人した後に自由意志で北朝鮮に行くことができるわけです。


 拉致被害者の「子供」の日本への帰国は、まず一義的には「人質」を取られた状態で被害者の方の行動に制限をつけられるのを避けたまでのこと。また、その子供が未成年であるというところに注意していただきたいのですが、自由社会では未成年を完全に自立した意志主体とは認めていません。今回の帰国では子供たちが日本へ来たかったのか来たくなかったのか問われてはおりませんが、保護者の監督・指導が必要とされる場合にあたったでしょう。


 なにより子供たちの意志を問うとしても、北朝鮮国内での外国に関する情報と日本国内での外国に関する情報自体がまず非対称です。北朝鮮国内での情報のみに基づいて日本に行きたい−行きたくないの判断を求めたとしたら、それはあまりに貧弱な選択を強いるものになったでしょう。彼らがより多い情報に基づいて自分たちの意志や行動を決める機会を与えられたことを、私は喜ばしく思います。


 次に、北朝鮮生まれの子供に「帰国」という言葉はオカシイとおっしゃることについてですが、日本国の国籍法によれば「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」には子は日本国民とされます。今回、自分の意志に反して拉致された方々は日本国民だったわけですから、当然子女も日本国民です。よしんば北朝鮮が彼らに北朝鮮国籍を与えていたとしても、それは二重国籍の状態となっていただけですので、二十歳になった時に日本の国籍を選択すればいいだけです。(もしくは北朝鮮の国籍を選ぶ自由もその時にありますけど)


 日本国民である要件は、単に法で規定されているところに拠るのみです。「大和民族の血」なんてものは全く関係ありません。単純に、拉致被害者の子女は上で説明したように日本国民ですから、その子たちから生れた(生れようとしている)子も、当然日本国民となるでしょう。二重国籍状態であれば、それは成人の際にきちんとすればよいだけです。

 質問者の方も、本当に質問したいというよりは「自分の意見を表明したい」から質問を出したようですが、これは理解したいと思うよりも少し反射で上のように書きたくなった質問ですね。まあ何か返答が付くとも思えませんが、他の方の答えも含めて、ちょっと見守ってみましょう。(熱くなるとろくなことがない、ということではありますが 笑)