四月病

 「五月病」という名前はあまりに有名ですが、最近「四月病」というものの存在が社会的に問題視されるようになって来ました。四月病はほとんどの場合五月の連休までには自然治癒してしまう病気です。そのため四月病と呼ばれています。


 四月病とは「今年こそ絶対本気で勉強するぞ!」という気分が年度始めに過度に気分を支配してしまうというもので、よく見られる症状には軽い躁気分、通常の三倍の学習意欲、無理な計画策定欲、参考書や辞書などの買い過ぎなどがあり、やる気が空回りするほどでると訴える場合が多いようです。


 おもな原因として考えられるものは、昨年度勉強できなかった(もしくは成果を期待したほどあげられなかった)という反省と、年度が変わって心機一転ここから巻き直しだというすがすがしい気分の相乗効果です。
 この病気は、NHKの語学講座のテキストが4月に馬鹿売れし、その後8月まで右肩下がりの売り上げになるところなどから見いだされました。そう、この病気は学籍の有無に関係なく人を動かす恐ろしい病気なのです。


 今病気という言葉を使ってしまいましたが、ICD-10*1には未だ診断基準の記述がありませんので、厳密には疾病ではないという言い方もできます。
 ですがDSM-IV*2ではすでに類似の症状を「September Disease(or Sptember Mania)」として策定する動きが聞かれます。アメリカの新学期は9月ですから…。


 繰り返しますが、(残念なことに)ほとんどの人において四月病は一月経たないうちに勝手に快癒してしまいます。しかし四月病の治癒もしくは軽減により、反動として次に学習意欲が湧くまでに半年ぐらいかかってしまうなどの深刻な弊害も報告されています。またNHK出版を理不尽に儲けさせてやることにも忸怩たる思いがあります。
 マラソンなどでも、スタート直後の無理な飛び出しは後々のペース配分を壊してしまうということがいわれております。実際に学習効果を高めそれなりの結果を手にしたい方は、できるだけ四月病に浮かされない着実なスタートが望まれると言えるでしょう。

おうちのかたへ

 おこさまがきゅうに勉強にねっちゅうするようになりましたら、四月病を疑ってみましょう。じぶんから勉強したいといってきたことにはしゃいで、高価な教材などを買いあたえるのはきけんです。たいていぬかよろこびにおわります。
 じぶんがどうだったか。だまって勉強するほうだったか。勉強は得意だったかなどをきおくのすみから呼びだし、赤単でも出る単でもシケ単でもほとんど開かずに放りだしたきおくがございましたら、絶対に高価な教材を買いあたえるというおろかなこういはやめましょう。単にむだです。

*1:WHO(世界保健機構)の疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第10版(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems - 10)

*2:アメリカ精神医学会(APA)が発行する精神疾患の診断・統計マニュアル 第4版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder - IV。最新の改訂版は、DSM−IV−TR)