「やさぐれ」の誤用

 語源由来辞典「やさぐれる」

やさぐれるの語源・由来
 やさぐれるは、不良の間で使われていた隠語「やさぐれ」が転じた言葉である。
「やさ」は「鞘(さや)」の反転で「家」を意味し、「ぐれ」は外れることで、家出することや家出人を「やさぐれ」と言った。この「やさぐれ」が動詞化され「やさぐれる」となったが、「ぐれる」との混同や誤用などにより、現在の意味になった。

 五、六年前に、都内で中央線に乗っていたら「あの娘もやさぐれちゃってさぁ〜」などと話す若い女性たちがいて、聞こえてきたその話では当の人物が宿無しであるようには思えず、間違って使ってると苦笑していました。ところがその後、単に「ぐれる」と同じようにこの語を使う人がどんどん増えてきて、今日ネット上でたまたま三件も見てしまったので、検索してみました。


 やはり私が憶えていたような内容(というか言葉の由来)ではあったのですが、何よりびっくりしたのが

やさぐれる
 やさぐれるとは、すねる。投げやりになる。

 と、「現在の意味」とやらが書かれていたことですね。いつの間にこんな誤用が定着したのでしょう。


 あるいは私が「やさぐれ」を知った頃にはもうすでに誤用は進展していて、単に私が古い表現だけを憶えてしまっていたというところでしょうか。でもこの語を何となく知った20年ほど前から、その電車での会話を聞いた時まで、私は一度もその「誤用」を耳にしたことはなかったんですが…


 『やさぐれ刑事(デカ)』とかいう劇画があることはかなり前から本屋で背表紙を見て知っていましたが(実は読んだことはない)、それに出てくる刑事さんは「すねた刑事」とか「投げやりな刑事」なのでしょうか…