ご近所の話

 ご近所の噂話に往々にして真実があり殺人などの事件もそうした噂話あたりから解決する、と言えばクリスティーの「ミス・マープル」ですが、どうも今回の秋田での幼児殺害事件、かなり最初の段階から母親の鈴香被告が怪しいという近所の噂は広まっていたようです。ご近所の(時に悪意ある)噂というものを鵜呑みにすればいいというものではないでしょうが、頭から否定することもできないでしょう。それは地元の警察自体が一番よく知っているものと思っていましたが…

畠山鈴香被告

 嘘がうまい人というのは自分のついた嘘を自分で信じてしまう人だ、とはよく聞く言葉です。彼女もまたそういう「自分の嘘を自分で(どこか)信じてしまう」人だったのだと思います。それだけに、それまでつきあいのなかった捜査員などは最初その嘘を見破れなかったということなのではないでしょうか。その点、良くも悪くも行動のパターンや人となりがある程度噂などで蓄積される「ご近所」というものは、そうそう簡単にだませないのかもしれません。


 テレビなどで今まで切れ切れにみた映像では、彼女は非常に強く確信を持って「被害者」だと言っていました。おそらくそれを言っていたときの彼女は、全く矛盾など感じずに「殺された娘の母」という被害者だと自認していたのでしょう。こういうのがうまい(といいますか自然にできる)人ほど、口喧嘩に強い人ということになりますね。自分のことは棚に上げて捲くし立てることができる人です。その場で勝てれば…ということなのですが、長い目で見ればそれは自分の信用を傷つけ、結局は損ということになるのではないかと…。
 ちょっとどこかご近所の某国を思い出したりします(笑)


 生い立ちで同情すべき点があるなどとも語られますが、結局はこういう行動を許しておくのは本人にも良くないことです。もっと芽のうちに摘む、嘘を許さない強い態度が周辺にあれば、それを怖いと思わせることができ、彼女の性格も少しは矯正できたのではないか、二つも殺人を犯さなくてもよかったのではないかと本当に思います。

町内のお祭り

 ご近所と言えば今年町内会の班長を引き受けさせられた私は、この数週間町内会で主催する祭りの手伝いをいたしておりました。先の日曜にも祭り準備で駆り出され、この連休中、土曜は仕事で準備は手伝えませんでしたが、日曜の祭り本番、月曜の撤収・片付けとそれなりにがんばって参加させていただいたと思います。(昨日の雨の中の撤収作業はちょっと辛かったです)


 その祭りで気付いたことなどを少々書いて見ますと…
・こんな関東の片田舎まで「よさこいソーラン」の魔の手が伸びてきている。
 …これには驚きましたね。いえ、あの踊り嫌いじゃないんですが、こうもどこへ行ってもよさこいソーランでは皆食傷してしまうのではないかと。せめて北海道とか高知とかの専売特許にしてくれたらと思わないでもないです。まだうちの方では10名ばかりの若いお母さんとその子供たちによる有志のサークルでしたが、何かまだ増殖しそうな気配もあります(去年は無かったそうですし)。


・それなりに共生
 …町内ではフィリピン系の奥さん、南米系の奥さんが数名いらっしゃって、祭り準備にこそお出でにならなかったのですが、祭りを楽しむ方では当たり前のように溶け込んで参加しておられました。お子さんたちも普通に日本語で友達と遊びまわるワルがき元気のいいお子さんたちで、カキ氷を「ただでちょうだい」としつこく言ってきたのを除けば、微笑ましく見ていることができました。
 …町内で、年の頃なら50ぐらいの「おかま」さんがいて、それは皆に公認?されていたということに気付きました。普通に職をもたれている方で、ちょっと言葉と物腰が特徴的で、いつも皮のものをお召しになっている以外は普通の方なんですが、当たり前に手伝いに来られて自分の役をこなしているのを見ると、ちゃんと認知されているんだなとちょっと感心です。もちろん私もお話させていただきました。


・勘定はドガチャカ
 …売り子を手伝ってみて、売店は結構どんぶり勘定だったです。学生時代からこの手の屋台は何度かやってきましたが、今までで一番「裏」はどうでもいいよ的な感じでしたね。私のところは一番収益を上げた方なのですが、開始まもなくこちらにも「生ビール」が回ってきて、いきなり共犯にさせられていました…
 焼き鳥とかフランクフルトとか焼きそばとか、どんどん「どうぞどうぞ」とまわされる感じで、会計は大丈夫かなと少し心配だったほどです。もちろん自分たちで楽しむのが一番の目的なんですけど。


 これで思い出したのが落語の「花見酒」でしたか、花見で酒を売って儲けようと一樽かついで出かける二人の男の話です。どうにも陽気にがまんできずに、一人がお釣りに使うはずだった金のいくらかをもう一人に渡して「俺に一杯くれ」と。それでお金を受け取った方も「今度は俺にも一杯」という具合に、二人でつり銭をいったり来たりさせながらどんどんきこしめし、花見の賑わいのあたりについた頃には樽は空っぽ。「今日はいい商売をしたな。全部売りっ切れちゃった」という落ち。


 この噺、一見よかったよかったにも思えてしまうのですが、よくよく考えると「次の商売の種銭」まで飲んでしまっているので、商売としては失敗です。
 そして我が町内の売店でどうしてこういうドガチャカができるかと思いましたら、お祭りの「寄付」とかが結構くるためらしいと思い至りました。私も子供みこしには千円包んでましたし、会場の受付のところには寄付の芳名を書き出す板があったりと、なんでも数十万の寄付収入があったとか。それを考えたら、たとえば生ビール、ビールサーバーや何やらで6万近くかけて売り上げは3万弱、というのも大して深刻には考えないわけです。寄付の分も含めて最終的にとんとんになればいいわけですから。


 いえこういうのを見ていて、国から補助金を注がれる地方経済も一緒じゃないかなあなどと思ったのはあくまで秘密です(笑)商売としてはねえ…