少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」OPナレーション6

第六回(最終回)「タイム・エネルギーの謎」

SE「ギ〜〜ッ(扉の開く音)」(揺り椅子に座ったシルエットの男が語り始める…)

 1951年、8月4日の明け方四時ごろ…
 フランスの、英仏海峡に臨むディエップという町に住むドロシー・ノートン夫人は、騒々しい物音に目を覚ましました。


 小銃や、機関銃や大砲を撃ち合う音。急降下する飛行機の音。爆弾の音…
 あまりの恐ろしさに、ノートン夫人はパリにいる伯父さんに電話をしました。パリの伯父さんは、受話器を通じて確かに銃声や爆弾の音を聞きました。音は三時間ほどで消えました。


 ノートン夫人は外へ出てみましたが何の異常もなく、相変わらずの美しい風景でした…
 調べてみると、ここは、その時から九年前の同じ8月、第二次世界大戦でカナダ軍が上陸し、ドイツ軍と激しく戦った場所なのです。


 ノートン夫人が聞いたのは、単なる幻覚だったのでしょうか…
 幻覚が、電話線を伝わってパリへ届いたのでしょうか…


 われわれの常識では何とも説明できない事が、今にも起こるかもしれません…


 しかも…
 あなたの身近なところに…


(テーマ音楽)


 タイム・トラベラー



 筒井康隆
 「時をかける少女
        より



 最終回
「タイム・エネルギーの謎」




ケン「どうしたんだ」
和子「お願い、ケン相談に乗って…」
ケン「うん」
(ナレーション)和子は、ケン=ソゴルに話しました。昨日のタイム・トラベルのこと。福島先生の結婚式のこと。山県先生のバス旅行のこと…
(試薬らしき液体を、試験管から試験管に直接移すケン)
ケン「そう…じゃ君は未来に行ったんだね」
和子「そうよ。今年の3月25日へ…」

(ナレーション:城達也