ヘイトクライムは一方向的なものではありません

 人種・肌の色・出身地・性別・障害・性的志向を理由に、加害者が意図的に被害者を選択して引き起こした犯罪、または対象が物の場合、上記の理由でその物を対象にして起こした犯罪


(米国連邦議会によるhate crimeの定義 暴力犯罪取締法律執行法 1994)


 艱難汝を玉にす、とは言われますが、苦労しただけ意地悪くなってしまった人などもよくみかけるもの。虐げられた(という自己認識がある)人たちが度を外れて虐げる側にまわってしまう例など、私たちは散々いろいろなところで見ているはず(>カナ空爆などももちろん…)。それにしても次の記事にはちょっと驚いてしまったのでした。


WA州14歳アボリジニ少女、暴行行為で起訴 人種憎悪犯罪

パース2日ーWA州の人種憎悪に関する新法律のもと、アボリジニ少女(14歳)が2日、人種憎悪による罪で公判に出廷することになり、同法律が導入されて以来初めての被告となる。


少女は、4月にWA州のGoldfields(ゴールドフィールズ)地域のアボリジニではない女性(19歳)に暴行を加えた3人のアボリジニ少女のうちの一人。14歳の少女はその後、人種差別的な発言をし、中傷罪で再度逮捕された。


同少女は2日、Kalgoorlie(カルゴーリー)児童裁判所に出廷する予定。WA州裁判所では、今回が人種憎悪に関する新法律のもと起訴された最初のケースとなる。(AAP)
(オーストラリアニュース  08月02日 10:46)


 絶対的な立場などないということを憶えておかなければならないのだと思います。
 そしてふと思い出したのが、次の引用です。

 今日本で、アメリカの悪口を言ってもイギリスを批判しても、アメリカ蔑視だイギリス人差別だと言う者はいない。それが中国となると、それ中国蔑視だ中国人差別だと金切り声を立てる者が現れる。なぜか。当人たちもはっきり意識していないだろうが、彼らの心中には、日本は中国より上だ、中国は弱い国で中国人は弱い人達だ。「自分たちが守ってやらなくては」という思い上がりがある。その思い上がりは、戦前シナ人を軽蔑した日本人と紙一重、いや同じ穴のムジナだ。なまじ良心づらしているだけ気色がわるい。
高島俊男『本が好き、悪口言うのはもっと好き』より)

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