こうのとりのゆりかごに…(続き)

(※昨日夜7時頃に追記としてあげようとしていたものです)
 6時台のFNNニュースで続報を聞きました。熊本県警も保護責任者遺棄に相当するか調査中とのことです。それより置き去りにされた3歳児が自分と親の名前をしゃべることができたと聞いてちょっと唖然という感じ。
 よほど父親に考えがないなあと思うばかりです。これは特定されるでしょう。


 刑法第217条の「遺棄」では

 本罪の成立には、現実に被遺棄者の生命・身体に対する危険を発生させたことを要しない。
(大判大4・5・21刑録二一―六七〇)

 また刑法第218条の「保護責任者遺棄等」では

 本条の遺棄には、置き去りをも含む
最判昭34・7・24刑集一三―八―一一六三)

 などの判例がありますし、匿名性に隠れて捨て子ができると考えた親はペナルティーを受けることになるのではないでしょうか?
 熊本県知事は、何歳の子が置き去りにされても関係ない、保護が必要な子には保護を…というようなことをインタビューで語っていました。確かにそれは真っ当な考え方でありましょうが、ことこの「こうのとりのゆりかご」を捨て子置き場に使おうとしたということについては私は批判的でもあります。
 児童福祉施設に向かうよりも「匿名性」が保てるとでも考えた(だろう)誰かさんの思慮の足りなさに少し怒りも覚えてしまいます。「産んだばかりでパニックにでもなりそうな生活力のない母親と子どもを救う」といったあたりにかすってもいないですし。熊本県にはこの病院にむやみに重責を負わせるのではなく、自分でやれるところをやってくださいと願いたいものです。
 この「ゆりかご」の本来の目的は、放置されるだけですぐに生命の危険が生じる新生児の命を助けるというところにあったはずですから。