つぶやき

 安倍総理の辞任騒動は引越しなどの忙しさにかまけてまったく気付きませんでした。最初にそれを知ったのがU-22のサッカーの試合の後の特番(の情報)でしたし、その後のテレビなどをザッピングしながら見たのですが、みなさん一様に驚いた様子でしたね。
 体調の不良説がある程度メインに語られてもいましたが、結局健康を失っていたのも精神状況を悪化させる一因ということで、気持が折れてしまったということなのでしょう。むしろ自死を選ぶとか傍目にもわかるうつ状態になるよりはましな選択だったのではないでしょうか? もちろんここでの辞任は細川首相と同様の「政権投げ出し」的なイメージも拭いきれませんが、安倍氏本人にとっては止むを得ない選択だったということで(私がどうこういう立場にもありませんし)こういうのもあることだとは思いました。


 同情をするということでもありませんが、安倍総理はウルトラ右翼だとかウルトラ保守だとか言われレッテルを貼られたわりにはほとんど何もそれらしいことをしなかったと思います。彼にこうした言葉を投げかけた人の頭の中には、お祖父さんの岸信介元首相の影が(特に安保闘争時の恨みつらみを引きずったものが)ちらついていたのでしょう。まあたとえそういう負の遺産があったとしても、彼は彼で自己流をつらぬけばよかったのですが、結局その気力も尽きてしまったんですね。
 さんざん揶揄された「美しい国」にしろ問題はそのスローガンに実体が伴わなかったということであって、漠然とした「美しい国」への希求それ自体を否定することはできなかったはずです。(何かそれをしちゃってる人もいましたが)
 大抵その批判は、安倍氏の背後に批判者が(自分で)置いたグロテスクな影に対して行われていたようにも思われます。教育関係でいささか強引な問題処理をしようとされていた節もありますが、それこそ民意がそれについていかなかったら何もできませんし、結局は大山鳴動しただけという気もします。


 為したことで批判されるよりもイメージで不人気が盛り上がったというところは可哀想なのですが、空元気でも気力を見せ続けるというのも為政者の資格なのでしょうから、それができなくなった以上お辞めになって当然ということですね。


 二世議員、三世議員という人たちが増えてきているのは確かです。そこには負の遺産もあるということが今回のケースではっきりしたようにも思います。お疲れ様と声を掛けるのははばかられるくらい何もできなかった感がありますが、せめて仕方なかったんでしょうねとここで呟いて差し上げましょう。