今日の月も冴え冴えとして美しい月です。明日あたり満月ですね。
 夕べ、故白洲正子さんを元首相の細川さんが語る再放送の番組を拝見。細川さんは政治家でいた当時、私にはよくわからなかった人なのですが、彼が白洲さんに私淑していたというのは頷ける気もします。少なくとも孤独を怖れるということはしなかったのではなかったかと、それは何となく感じられたように思うからです。
 白洲さんの書かれたもので代表作とも言える明恵西行の生き方は、彼女のみならず多くの人に静かに影響を残しているのかもしれません。
 

 西行の歌で私が最初に知ったのは、

 ねかはくは 花のしたにて 春しなん
 そのきさらきの もちつきのころ 

 でした。全く意外にも大和和紀の『はいからさんが通る』で出会ったように記憶しています。
 ただその後最も好きになった歌は

 年たけて また越ゆべしと思ひきや
 命なりけり 小夜の中山

 です。「命なりけり」という絶唱が何故か頭に残ります。


 明恵上人の歌はもっと闊達なものです。美的云々よりも、巧まざる心情というものを感じます。

 アカアカヤ アカアカアカヤ アカアカヤ アカアカアカヤ アカアカヤ月

 月の明きことを、それだけで詠っています。普通ならあり得ないですよね。こういう稚気を含めて素敵な人だなあと思います。
 ちなみに明恵房高弁は日本に三人だけいる本当の清僧、生涯不犯で童貞のまま亡くなった僧侶の一人とも言われています。さて、あと二人は誰だったのでしょうか…。