昨日の話の続き(少々)

 昨日の記事のブクマコメでid:chirollさんが

chiroll [漫画]紡木たくも漫画も好きなのでブクマ

 と書かれていまして、ちょっとだけ冷や汗でした(笑)
 そういう方がいらっしゃって当然なのですが、これは書き様を変えたほうがよかったかとちょっと思いました。
 まあ昨日の引用の先を少しだけまた引きますが、

よしなが 考えてみれば、紡木さんはあのとき多分10代か20代そこそこだったんだよね。でも、「むかつく」っていう言葉をはじめてマンガのなかで見たのが『ホットロード』だったんですよ。そのときもすごい衝撃で、「そう、私たちこれ使うの!」って思って、なんで知ってんのこの人、ってびっくりした。
福田 同世代感、というか同時代感が強かったんだね。
よしなが 見透かされていた。しかも和希ちゃんっていう主人公の女の子にみんな憧れるの、ヤンキーなんだけど。そのときの褒め言葉が「きれい」じゃないんですよ、「いいなあ、やせてて」って言うの。あれも、ものすごいリアリティで、「そうなのよ」って思った。がりがりなんだよね、きっとこの子って。そういうのがすごくちゃんと描けてた。

よしなが でも中学生が見ても、くらもちふさこさんはこれからもやってくだろうけど、紡木たくは時代の申し子なんだと思った(笑)。こんなにいまの私たちにジャストフィットっていうことは、これはもう、一瞬の輝きの作家さんだ、きっと、と思ってた。けっして悪い意味じゃなくて。
福田 また、カラーが一瞬の輝きをとらえてない? ものすごいきれいじゃない、紡木さんのって?
よしなが そう。で、人間を描かないのね。少女マンガなのに単行本の表紙が背景だけなのよね。道路でテールランプのバイクが描いてあるだけとか。
やまだ 目だけとかさ(笑)。
よしなが 人間の体のシルエットが一筆書きみたいにしてきゅっと描いてあるんだけど、とっても上手だった。でもね、白泉系の子たちとか、「ジャンプ」読むような子たちが紡木たくが大嫌いでね、それが面白かった。オタク友だちとかは口をきわめて紡木たくをののしってた(笑)。
一同 (笑)
よしなが でも、高河ゆんさんの論争と同じですよね、天才だ、いやいやあの人は全然だめだっていう人とわかれるときって。それは結局天才ってことなんだろうって思う。
(『あのひととここだけのおしゃべり』pp.20-22)

 特別に悪くもないフツーの女子が「むかつく」とか言い出したあたりをリアルタイムで捉えていた方だったのでしょう。そしてそれはこちら(上の世代)からするともう理解ができないように思えてしまうんですね。
 それでそういうup to dateなところが従来のマンガを読んできていなかった(もしかしたら合わなかった)ような人を多く掴んだんだと思います。むしろ「ふまえて」きた人とか、内向的な人とか、ポエムは好かんとかいった人たちは紡木さんには却ってなじめなかったのかもしれません。


 一冊ぐらいはどこかで見つけて読まねば、と今は考えています。
 そして紡木たくさんが好きという方は、ぜひ『少女マンガ的。』を読んでいただいて感想をどこかにあげていただきたいなとも少し思っています*1

*1:chirollさんに強いるということではなく(笑)どなたかが…ということです