閉戸読書

 江戸時代中期の儒学者であり戯作者でもあった井上蘭台(通熙)*1は『先哲叢談』という学者・文人の逸話集に「戸を閉じて書を読む」というエピソードを残しています。

 井上蘭台、戸を閉じて書を読む。客の至る有れば、即ち自ら答ふるに不在を以ってす。客以って戯れと為す。蘭台声を励まして曰はく「主人自ら答ふること此くの如し、何の偽りか之れ有らん」と。書を読みて輟めず。

井上蘭台は(家で)戸を閉め切って書を読む(のを通例としていた)。来客があれば、そこで不在だと自分で答えていた。客はそれを冗談だと思った。蘭台は声を荒げて「主人が自分でそう言っているのだ、嘘のはずがないだろう」と(言って)、書を読むのを止めなかった。

 後に落語のネタとしても使われたような奇人エピソードです。なぜかこれが高校の漢文の教科書に載っていまして、気に入って抜書きをいまだに持っているのでした。


 ときおり自分も誰にも会いたくないとか、読書や何かに没頭したくなる時がありまして、一昨日あたりから昨日もそういう感じで買い物にも出ず引き籠もっていました。でもさすがに読書ばかりでは疲れますし昨日は朝から雨、ちょっとしたはずみで突然に家事づいたりもしました。気散じといったところでしょうか。
 犬の写真をあげてあるところの掃除から始めて、部屋の掃除機掛けから水ぶき、洗濯、五徳やカバーをはずしてコンロやグリルの清掃から台所の床の拭き掃除。換気扇フードの交換。冷蔵庫の中身を出して点検と清掃、本体周囲の乾拭きと庫内掃除。空気清浄機(三台)の手入れと食器などの漬け置き洗い。そしてあとは有りものを用いての下ごしらえをちゃんとした食事作り。
 メインはラムチョップをオリーブ油と香草でマリネしてグリルしたもの。それにオクラとエリンギの和え物にキャベツと茗荷のサラダ、煎った大豆と玉ねぎにんにく等で作ったネパール風おつまみ。それにお供えで買ってあった(安めの)佐藤錦
 これであらかた冷蔵庫の中はきれいに捌けたのですが、しょうがとかにんにくは別にして余ってしまったのはゴーヤー一本。
 「騅の逝かざるいかにすべき。ゴーヤー、ゴーヤー、なんじを奈何せん」
 仕方がないのでそれは次の日に回し、安赤ワインを明るいうちからゆっくり一本あけていました。
 気がついたらわんこの写真の前で寝ていて、風邪でも引いたらいかんと入浴して就寝。こういう感じの日曜でした。

*1:1705-1761 岡山藩に仕える。通熙(みちひろ)は名で蘭台は号。法号は自然居士。