今日の夕方

 日が傾く頃に買い物から帰ってきて、風鈴の糸が切れていることに気がつきました。タコ糸ほどの太さの茶色の糸が日の光や風雨にさらられて自然に切れてしまっていたのです。もう二十年も使っているものなので…。
 仕方なく縫い糸で短冊をつけ直すことに。二重、四重にした茶色の糸で結んだのですが、なぜか音が鳴らず。糸が長いと(そして硬さがない細いものだと)短冊の受けた風の力が鈴を鳴らさないことに気付き、今までより少し短めの5cmほどで結びました。今度は成功。
 風鈴は個人的な趣味としてガラス製のものはちょっと。音が鈍いと清涼感がいまひとつなのです。やはり好みは南部風鈴の高い澄んだ音。さらに鳴り過ぎも興ざめで、数分に一回程度チーン、チリチリーンと鳴ってくれるのでないと付けた甲斐がないと思ってしまいます。


 そうこうして風鈴を調整していると、風に乗ってお囃子の音が聞えてきました。今日明日と地域の子供会のお祭りです。2時半から中学生女子たちによるお囃子のお披露目があったことを思い出しました。行こうと思っていたのにうっかり失念。もう本番が始まっているようです。
 遠くから祭りの音が聞えてくるとは贅沢だと思いまして、日陰になった庭先の濡縁に出て、足元に蚊取り線香を焚き、いただきものの御酒をなめながら読書としゃれ込みました。
 案外こういう戸外の読書ははかがいかないものです。庭の様子、あたりの景色など結構目に入って、さらに散歩中のハナ(近所のわんこ。多分牧羊犬。リード無し)が生垣から顔を出して入ってこようとしていたり、借景になっているこんもりした土手の丈高い雑草がざわざわするのを見たり、なかなか本に集中できません。まあ飲みながらですしそれもまた面白いのですが。


 ちょっと文字が読めなくなるほどの明るさになってきたので切りのいいところで中に入りました。
 お囃子はもう聞えてきません。
 風鈴だけチリンと鳴りました。