ハーレムを作る鳥の群れ

 NHKの5分番組『世界遺産100』で、昨年変わった鳥の群れが紹介されていました。コシジロラッパ鳥というのがそれで、南米の熱帯雨林の森をサルを追いかけながら走る鳥です。コシジロラッパ鳥の群れでは、一番強いメスだけが、オス全員と交尾して卵を産みます。いわゆる逆ハーレムではないかと…


 番組のサブタイトルは「サルを追う鳥 マヌー国立公園(ペルー)」というもので、この国立公園が世界遺産になっているということでした。コシジロラッパ鳥はツルの仲間で首や足が長く、翼を広げた姿はいかにもツルらしいものでしたが、普段はほとんど飛ばず(というか飛ぶのが苦手で)ジャングルの中を群れで走り回っていました。体色はクロ。くちばしはあまり長くなく根元が黄色で先のほうが白。コシジロの名の通り、背中の腰のあたりからおしりにかけてだけ部分的にシロい色で、薄暗い森の中で群れをまとめる目印になっているということです。その走っている姿はむしろヤンバルクイナに似ていましたね(もう少し大きいですが)。
 彼らはほとんど野生化したニワトリ程度しか飛べないようでした。通常ジャングルの鳥は高い樹木の上にいて外敵を避け、木の実を食べます。彼らはそれができないため、地上を走り樹の上を移動するサルを追いかけます。サルがかじって落とす木の実を食べて餌を確保するためです。ちょっと奇妙な共生という気がしました。


 その巣だけは枝のほとんど無い高い木のうろ(およそ15メートルも上)に作るそうで、あたりの樹の枝を短く飛んで休みながら何とかオスやメスはそこにたどり着きます。
 どうやって「一番強いメス」を決定するのか放送では言ってくれなかったので興味があります(笑)が、とにかくこの鳥はそのナンバーワンのメスだけがオス全員と交尾するとのこと。そして産んだ卵に関して、オスは交替で卵を暖めに来ます。全員で育児するのです。
 それぞれが「自分こそ父親」だと確信しているかのように…


 ちょっと人間社会でオス(笑)に育児させるためのヒントがここに隠されているのではないかと、思えたり思えなかったり…でした。