秋田の教育

 県、秋田と教員交流 両県教育長が覚書沖縄タイムス

来春から3年間


 全国学力テストの小学六年と中学三年の全教科で二年連続全国最下位だった沖縄県と、好成績をおさめた秋田県教育委員会が小中学校の教員の人事交流を図ることになり、沖縄県の仲村守和教育長と秋田県の根岸均教育長が十八日、秋田県庁で覚書を交わした。
 交流は来年四月からで、一年単位で三年間行う予定。両県の小中学校の教員が一人ずつ交流先の学校で教壇に立つとともに、指導方法などを学ぶ。両県とも希望者の中から選ぶ予定。
 仲村教育長は記者団に「秋田は指導方法の先進県。沖縄の先生には指導システムを肌で感じてもらいたい」と話した。沖縄県は交流が予定されている三年間で学力テストの成績の全国平均達成を目標に設定。すでに希望者は何人かおり、派遣する教員の増員もあり得るという。(後略)
(11月18日)

 このニュースを拾って、韓国の中央日報で記事が書かれていました。
 ⇒東京より好成績の秋田に学ぶブーム(1)中央日報日本語版)

東北地方北西部に位置する秋田県。コメとスキーぐらいでしか知られていない当地に、最近全国から教育関係者が押し寄せている。全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で2年連続トップの成績を収めた秋田県の教育をベンチマーキングするためだ。日本で最も貧しい地域のひとつの秋田が、自治体が主導する公教育の成功モデルとして注目を集めているのだ。


◇「トップと最下位の教員を相互派遣する」=秋田県沖縄県教育委員会は18日、教員の相互派遣に関する覚書に調印した。1年単位で3年間実施し、両県が小中学校教師をそれぞれ1人ずつ交換で受け入れ、各校に配置、学校教育と学習指導の方法などを交流することになる。同事業は、全国学力テストで2年連続最下位だった沖縄の要請によって実現された。


沖縄県教育委員会は今年の学力テストの結果が発表された9月から「教育政策の専門家が1、2回秋田県を見学するよりは、教師が現場で直接ノウハウを体得するのが重要だ」とし、交流事業を提案した。 (後略)

 直接記者が出向いたのか、国内での報道より詳しい内容になっています。(※ベンチマーキング〜韓国の表現で「まねる」「まねて追いつこうとすること」にあたるようです)
 秋田の教育がどういう理由で高得点につながっているのか、いくつか記述もあります。

 秋田県教育委員会の佐々木孝雄学力向上推進班長は「秋田の教育現場を視察した人々は皆、教師の情熱に感嘆している」とし「教師らは授業時間のほかに、放課後の指導、家庭での学習まで細かく管理して落伍者をなくし、生徒が幼いころから勉強する習慣を身につけるよう指導している」と説明した。

 確か博士号所有者を教員として採用するという試みも秋田で行われていましたね。57名の応募で6名が採用されたというニュースがあったはずです。いろいろ工夫しているようですが、どうもそのキーとなるのが「管理」とか「競争」という言葉につながるものではないかとも見えます。ここしばらくの教育界では決して受けなかったそちらの方向が成果を挙げているとすれば、かなり皮肉な事態にも思えます。
 続編のほうではより具体的に「インターネット上評価システム」と「家庭学習ノート」というものが示唆されています。

◇「教育」最優先の政策=秋田県は47地域のうち、平均所得が最下位グループの貧しい地域だ。そうしたところで97年に「子育て支援」と「教育の充実化」を地域の最優先課題に決め、積極的な教育政策を打ち出した。01年に少人数学級制度を導入し、1学級の生徒数を40人から30人に減らした。数学、国語など主要科目は、学習能力によってチームを分けて教える「学力別クラス編成」を定着させた。


教師らは科目別の研修を受けるなど絶えず授業方式を研究し、保護者と地域住民は学校への関心と支援を惜しまない。秋田教育の強みは独自の「インターネット上評価システム」と「家庭学習ノート」にある。インターネット評価システムは、小学校1年から中学校3年までの各科目のテスト結果を各校が即刻入力し、学校別の学力レベルを随時評価する。 (後略)
東京より好成績の秋田に学ぶブーム(2) 強調は引用者)

 沖縄をはじめいくつかの地域が秋田と連携して教育向上に取り組むこと自体は良いことだと思います。
 でも一番の問題なのは…
秋田県は47地域のうち、平均所得が最下位グループの貧しい地域」と歯に衣着せぬ表現(笑)で韓国の記者に語られるように、決して豊かとは言えない(そして自殺者が多い)地域としてあって、この教育がうまくいき続けたとしても就職先などに恵まれてもいず、地域振興にこれがつながるのかはっきりとはわからないということだと思います。
 かつて「米百俵」がどうこうという話題もありましたが、果たして長い目で見て効果はでるのでしょうか?
 もちろんそうなることを望みたいのですが…