卒業証書をあげないといった高校

 kamezoさん@PSJ渋谷研究所Xの記事「「親がアホ」のツケは子どもに回って当然なのか」、これでちょっと思い出したのが

 ⇒茨城県県立学校授業料等徴収条例 です。
 この条例によれば、授業料の納入義務者とは「生徒又はその保護者(生徒に対して親権を行う者,親権を行う者のないときは未成年後見人をいう)」とされています。
 少なくとも茨城県ではまず生徒本人が納入義務者であるということで、もちろん公立高校の経営に関わる制度は各県ごとに定められるでしょうが、おそらく他県においても似たものではないかと考えます。


 以前に調べる機会があったから思い出せたのですが、そのきっかけは次の記事でした。

高校授業料滞納 悪質な親が増殖、苦渋の荒療治へ

 支払い能力があるのに高校の授業料を納めない悪質滞納者の増加が、茨城県内で問題になっている。県教委は先月、年度内にも簡易裁判所に支払い督促を申し立てることを決定。異議申し立てがなければ、給与差し押さえなど強制執行が可能になる。(中略)…実際、悪質滞納者のあきれた言動を聞くと、この異例の措置もやむえないと思えてくる。


「やるならやってみろ」


「なぜ私が子供の授業料を支払うのか」


 県教委によると、督促に対してこうした言葉で応じ、支払いを拒む悪質なケースがあるという。また、督促の家庭訪問に居留守を決め込む“確信犯”もおり、意識低下が目立つという。


 もちろん、家計をやりくりして授業料を分割納入する保護者や、自らのアルバイトで納める生徒もいる。その一方で、携帯電話の料金は払うのに授業料を納めない保護者がいる。滞納者のなかには、小中学校でも給食費を払っていなかったケースもあり、ここまでくると“常習犯”と言っても過言ではない。

 納付を促す事務処理や、教職員の協力も必要な家庭訪問による督促が教育現場に負担を強いている実情もある。県教委は「あくまでも保護者のモラルを信じている。しかし、悪質滞納に歯止めをかけるためには、強い措置を取らざるを得ない」と話している。
MSN産経ニュース 2007.12.6)

 なぜかこの一年以上前の記事が最近ブクマで上がってきていて、それで思い出したというところもあります。
 朝日の記事だけでは島根県の高校でどういう脈絡があったか詳しくはわかりません。確かに卒業証書をもらえない生徒に同情を感じざるを得ないのですが、もしかしたら万やむを得ずの方策だったかもしれないわけでして、一般論としては同意できるものの状況に依っては高校を一方的に配慮不足と言えないのかもしれないと思ったりしています。


 この茨城県の条例にもちゃんと授業料の減免措置というのはあるんです。

第13条 前条の規定による場合のほか,生徒又は入学志願者の属する世帯が次の各号のいずれかに該当するときは,授業料等の納入義務者の申請により,徴収すべき授業料等の全部又は一部を免除することができる。
(1) 生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護を受けるに至つたとき。
(2) 災害,傷病,失業,生業不振その他の理由により,著しく生活困難となつたと認められるとき。
(3) 前2号に掲げる場合のほか,教育委員会規則で定めるところにより授業料等を免除する必要があると認められるとき。
 (平7条例25・追加)

 私は高校側にしても、今まで教えてきた生徒に卒業証書あげないよ、なんて軽々に考えて行ったとはどうにも思えません。教育委員会からの指摘でこの措置を取り下げたことでもありますし、このタイミングで批判するより何があったか詳しく知りたい気がしています。