身を捨ててこそ
民主党の小沢氏が党首辞任の意向とのこと。十分な弁明ができたとは思えませんでしたし、早いうちの辞意表明は政治判断としては妥当なものだったと考えます。
山川の末に流るる橡殻も 身を捨ててこそ浮かむ瀬もあれ
山の中の川の下流に流れている橡の実(の殻)も 自分から川に我が身を投げたからこそこうして下流の瀬に浮かぶことができたのだ
(同じように、成道のためには我への執着を捨ててこそその機縁となることもある)(伝 空也上人)
ただし、辞意発表会見を見ていて思ったのは、やたら「挙党一致」だの「政権交代」だのという言葉が多いなあということでした。
これは明らかに内向きの言葉です。
せいぜい民主党内の人たちむけ、よくて民主党支持層向けの言葉としか受け取れません。
その他大勢の小沢氏の動向を傍観していた人々に訴えかけるものではちっともないのです。
意地悪く見ていた人たちにまで届く言葉をしゃべれとは申しませんが、せめて積極的支持層ではないけれども次の選挙で民主党に投票する可能性のある人たちに向けて語りかけて欲しかったです。
結局、あれだけの大金がどうして必要だったかなど「説明責任」と言われるあたりに十分な説明もなく、また次の選挙で政権交代すれば民主党がどう私たちの生活を良くするのかという具体的な言葉もなく(抽象的には表現していましたが)、とにかく政権交代のために身を引くというそれだけだったのですから、よほど肩入れしているか利害関係がある人々にしか届かない会見だったと思わざるを得ませんでした。
ご本人の中ではいろいろあるのでしょう。それは案外浪花節なのかもしれません。
でもそういったものは語られなければ伝わりません、支持者層以外には。
次の選挙で勝つためには、積極的な支持者以外の広範な支持が必要なはず。それを考えればいささか期待はずれのものでした。果たして喉元過ぎれば…という具合になってくれるのか、それは神のみぞ知るでしょうね。