難しい

 今日あたりの天気予報では22日はかなり全国的に曇りがちで雨が降りそうです。残念ながらうちの地元では日食は見られないかもしれません。ただ九州より南の諸島付近では「曇り時々晴れ(降水確率30%)*1」ぐらいの予報ですので、運否天賦でそちらの皆さんは皆既日食も見られるかもです。
 あるいはと思っていましたが、皆既日食が見られるあたりへ自力で行かれる方々がちらほらいらっしゃるそうです。
 ⇒日食の島・トカラ “自粛破り”の上陸者続出、捜索騒ぎも(産経新聞) - Yahoo!ニュース
 ⇒ツアー外、こっそり入島者 日食の十島村「出て行って」(asahi.com)
 ニュースの色調にはどちらかというと「島に迷惑」「勝手な人たち」といったニュアンスが込められているように感じますが、私は一概に「勝手」と言い切るわけにもいかないように思いました。悩ましいところです。


 記事に見られる島民の方々がこれを不都合とする理由は、「村内は大混乱する」「村がパンクしてしまう」という危機感にまずあるようで、これを支持するインフラ上の理由「水不足」「食料不足」「医療不足」などが挙げられています。
 これを避けるために入島を代理店に依頼してツアー客に絞っていたのに、ここで勝手にどんどん来られては…という本音のところが記事から窺えます。ツアー客の人たちに関しては、水・食料・仮設シャワーや簡易トイレ・臨時電源・医療関係者の増員等々の「インフラ整備」も考慮していて、その分の整備代も含めた高額のツアー料金になっているのに、というわけです。


 「料金は鹿児島港発着の船中2泊、テント2泊のコースでも34万円台と高額」
 結局このツアー料金がどれだけ適正なものなのかという判断でしょう。移動手段のチャーター便の船賃なども含めて、それが「ぼったくり」ならば自力渡航者への共感が増え、適性ならば連中は勝手という意見が増えるように思います。


 憲法第22条「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」。この条項によって国内の自由な移動も保障されているということですが、やはり問題になるのは「公共の福祉」の文言で、結局権利と権利のぶつかり合い、その調停が問題とされるんですね。
 どちらも声高に「権利」とか言い始めても仕方がないこと。確かに条例もつくらず、法的に入島を禁じることはできないようですが、だからといって島民の都合にお構いなしで良いのかとも思えるわけです。


 いざという時に対応を求められるのに勝手は許せない、というような話もどこかで耳にしましたが、そこまで考えるのは杞憂だと感じます。自己責任だと放っぽって置けばよいということでもないのですが、緊急事態の完全な対応までは島に求める筋合いではないでしょう。リソースは限られています。できるだけのことしかできないということです。
 水は持った、食料もある。これだけで威張って島に渡れるものではないのは確かです。緊急時の対処、トイレの利用などまだまだいろいろな配慮が求められるでしょう。そこまで考えないならそれは「勝手」です。
 でもその上で、落ち着いて考えてみれば島の人もそこまで心配しなくとも…というところもあります。国内を自由に行き来することができるのは幸せなことですし、たまたま今回は人が多そうだというだけで、本来誰もがその自由を享受できるはずのものなのですから。


 あまり悩ましいのでここは「痛み分け」で、結局日食は見られませんでした…にならないかなとちらっと考えないでもないのですが、それで幸せになる人は誰も居そうにないので、傍からは口出しせずに経緯をぬるく見守りたいと思っています。私の所からは結局直接は見られないんでしょうけどね。テレビか何かで我慢しましょう*2

*1:奄美(名瀬)の予報

*2:もちろん見えたら儲けもの。嬉しいですが