夢枕

 夢枕に立つって言うじゃないですか。誰か亡くなった人とかが夢に現れてくるものです。うちのおばあちゃんなんかよくそんな話をしていて(小学校まで祖父母と川の字で寝ていたもので…)、それをきっかけに祖母が小さかった頃の話とか知り合いの誰々さんの話とかいろいろ話が聞けました。
 こういう事をいうのがおばあちゃんだと思っていたのですが、その後祖母が亡くなってかなりしてから母も同じようなことをいうようになってきました。今の私よりは上の歳ですが、それでも60になる前ぐらいだったと思います。(ちなみに母は今70を過ぎていますがまだ仕事ができるぐらいしっかりしています。春先にはガンの手術がありましたが…)


 おばあちゃんが夢枕に立った。何か話したいことがあるんじゃないか…。そういう気持ちを一概に馬鹿にすることなどできません。そうかもしれないねと言って、聞けるときには話を聞きます。自分で本当に信じているとは言えませんが、頭から否定しようなんて考えたこともありませんでした。


 普通の人がごく自然に超越的なものについて語るということは昔はもっとあったはずです。そしてそういう方々は迷信深いのかもしれませんが、わりに信心は厚く、仏壇や神棚の水を替えたり亡くなった人のことをずっと尊重したりと、私には頭が下がるという感じに見えます。こういうものが継承されなくなるのは、何となく無くなってしまうなら仕方がないとも思うのですが、どこか残念なことだと感じてきました。


 宗教的なものが話題になるとき、大体が「騙し」に絡んで語られることが多いような気がしますが、そういう騙す奴の側でしかものごとを見ないのはどうなんでしょう。そういうものにわりに引っかかってしまうような、そんな普通のおじちゃんおばちゃんの心情というものは考えなくてもいいのでしょうか。
 詐欺師みたいな加害者がいて被害がある。もちろんそういうのには腹が立ちますが、啓蒙とかによって消し去られるべきではない素朴な感情も時々は考えてみるべきじゃないかと、個人的には思います。
 騙されて鴨にされる確率を下げるということは、同時に何か別の大事なものもつぶしているのかもしれないと思えてしまうときもあります。難しい天秤ではありますが、私はそういう一般の人の信仰をその人の側から考えてみるということにも意義があるように見えているのです。

参院選の結果

 大方の予想通りと言いますか、サッカーの勝敗より驚きは少ないぐらいの民主党の大勝でした。前より増えた一人区で圧倒(自民の6勝23敗)という結果は、いよいよ衆院小選挙区でも風が吹くと政権交代の芽も出てくるだろうことを予想させるものだと感じました。
 ただ、民主党候補は押し並べて「政権選択選挙」を連呼して選挙運動をしておられたようでしたが、もしかしたらこの選挙結果は「政権選択選挙じゃないから」民主党が勝てたといえるのかも知れないとは思いました。積極的に民主党を選ぶべき理由というものが明確であったのではなく、自民党公明党の与党を負けさせたいという風潮が強く出た結果かもしれないということです。もしこれが「政権選択選挙」であったならば、民主党側にも減点要素が見つけられてここまで勝てなかっただろうという気がいたします。
 何といっても「年金選挙」じみた感覚が一番選挙結果を左右したようにも見えます。私にはあまりピンとこなかったのですが、高齢層も含めてこの部分での与党に対する逆風が一番影響を与えたのだとすれば、この問題が顕在化して喧伝される中での時の与党への批判票は致し方ないもので、まあ当然の結果かもしれません。ちゃんと何とかしろという与党への恫喝がここにあったとすれば、それはちゃんと効果をあげることでしょう。
 こういうところを読み違えないようにして、また選挙結果に驕ることなく、民主党が今後自分たちの主張をはっきり示しちゃんとアピールできるかどうかお手並み拝見というところですね。(お手並み拝見で言えば、安倍総理がこの選挙結果を政局につなげないようにしてどう乗り越えるかもポイントでしょう)