JAANUS

 finalventさんが今日の日記で中央日報の座禅の写真記事についてコメントされて、「手の形を見るに、これは日本式が変化したのではないかと思う…」とされていましたが、写真の手の形は普通に「法界定印」と言われるものに見えます。たいして詳しくもない私が言うのも妙ですが、この形は釈迦や大日如来の仏像にもよく見られるものだったはず。日本の禅で独特ということがあるのでしょうか?または韓国に禅の形が逆輸入された経緯でもご存知なのでしょうか?恥ずかしながらそこらのことを考えたこともありませんでしたので、ざっと調べてみましたがどうにもわかりません。


 法界定印は釈迦の菩提樹下の禅定という話に結びつくもので、ここにあるように座禅の形として普通に教えられているものだと思います。

右の手のひらを上向きにして組んだ足の上に置き、その上に、左の手のひらを同じように上向きにして置き、両手の親指の先を、かすかに接触させます。力を入れておしてはいけませんが、決して離さないようにします。

 調べるうちに「印相」(仏が両手で結ぶしぐさ)についていろいろ興味深い記述にぶつかりました。たとえば「石仏観賞の手引き」とかジュンセイ株式会社*1の禅コーナーなどです。仏の印相自体については、そのままですがこちらの「仏の印相について」がわかり易い解説をなさっています。これはこのテーマでサイトめぐりをするだけで結構面白いと思いました。


 これだけでは書こうとは思わなかったのですが、ふと以前に見つけたJAANUSというサイトのことを思い出し、そこへ行ってみると何と「法界定印」「禅定印」「弥陀の定印」から「転法輪印」などなどと、印相の説明がちゃんと英語でなされているではありませんか…。これは紹介させていただく価値があるだろうと思いましたので、今日の日記の二つ目のエントリーとして書かせていただきました。

 JAANUS is the on-line Dictionary of Japanese Architectural and Art Historical Terminology compiled by Dr. Mary Neighbour Parent.

 これは日本の建築と美術の用語に関するオンライン英英辞典ですね。外国の方に日本のことを説明する場合に結構役立つ時がありますし、なによりざっと斜めに目を通すだけでもそれなりに楽しめると思います。アルファベット順で作られている目次を見るだけでも、何か知らない言葉もあったり、知っている言葉でも英語でどう表現しているだろうと興味をそそられたり、ほんの少し英語ができるぐらいでも私には面白かったです。


 Dr. Mary Neighbour Parentは美学美術史学の学者で、外国人女性として日本で最初に東京大学からPh.Dを授与された方でもあります(学位論文は"The Roof in Japanese Buddhist Architecture")。残念ながら2003年の正月に亡くなられましたが、彼女が作っていた"an illustrated Japanese-English Dictionary of Japanese Art Historical and Architectural Terminology"の資料を元にして、オンライン版のこのJAANUSが作られています。知る人ぞ知るというところではないでしょうか?


 もしこの日記で、こちらに興味を持たれる方が一人でもいらしたら幸いです。結局最初の問いはどうでもよくなってしまっていますが、まあ人生とはそういうものだと思います…たぶん。

*1:寺院仏閣ビデオの企画制作・販売事業/商業デザイン企画・印刷をなさる会社だそうですが、サイトは趣味に走ったおもしろいものだと思いました(笑