ハリケーンの名前

uumin32005-09-05

 今回アメリカに大被害をもたらしたハリケーンの名前はKatrinaでした。この名前はアルファベット順にAからつけられていますので、"K"は11番目、日本風に言えば11号にあたります。ただアルファベット順とは言いましても使わない文字がありますから、用意されている予約名は26個より少なくなっています。現在ハリケーンの名前には大西洋で発生するものと太平洋で発生するものの双方が用意されていて、どちらでも使わないイニシャル文字がQとUです。


 2005年に大西洋で発生するハリケーンの予約名

Arlene, Bret, Cindy, Dennis, Emily,
Franklin, Gert, Harvey, Irene, Jose,
Katrina, Lee, Maria, Nate, Ophelia,
Philippe, Rita, Stan, Tammy, Vince,
Wilma


 今まさに日本を台風14号が通過しようとしていますが、東経180度の日付変更線以西の太平洋で生れているのでこれはtyphoon。日付変更線以東で生れた熱帯低気圧の成長したものがhurricaneと呼ばれます。(オーストラリア周辺のものはwilly-willy、インド洋で生れればcycloneです)
 名前といえば第二次世界大戦後、占領下の日本で米軍気象観測センターが台風の名前を女性名でつけていた時期がありましたね。古いニュースなどでキャサリン台風(1947)とかジェーン台風(1950)の被害は聞いたことがあります。


 何百年もの間、西インド諸島で発生するハリケーンにはその発生の日にあたる特定の「聖者の日」(カトリック)の名前が冠されていました。(例えば発生が9月4日ならば、聖アミアヌス…など。cf.聖者の日一覧
 19世紀が終わる頃、あるオーストラリア人気象学者が熱帯のストームに女性の名前を付け始めます。それに倣った形で、1953年からアメリカ国立気象局も嵐に女性名を付けるようになるのです。しかしこれは1979年から女性名と男性名の交互使用に変わりました。
 Aから順にその頭文字で始まる人名が付けられます。大西洋で発生するハリケーンには、その発生地で主に使われる3言語、英語、フランス語、スペイン語の人名から選ばれています。名前のリストの用意は6年分でそのローテーションとなっています。6年経つともう一度そのリストの最初から繰り返しになりますので、同じ名前のハリケーンが再び出現するのです。
 ただし、そのハリケーンが人々の記憶に残るほどの人的・物的被害をもたらした場合にはその名前は欠番となり、新しい人名がローテーションに乗るのです。Katrinaもこの2005年の被害とともに語られるはずで、新たに"K"で始まる女性名が選ばれることになるでしょう。


 現在の欠番は全部で54。多いのは頭文字Cで8つあり、頭文字Aがそれに次いで7つです。つまり発生時期が早いものの被害が大きいという傾向があったのでしょう。聞いたような名としては、AnitaとかCarmen、Cesar。DavidにFloydとかMichelle、Hugoなどというのもあります(参考:Retired Hurricane Names)。


 ちなみに今年(2005年)太平洋に発生するハリケーンの予約名は、

Adrian, Beatriz, Calvin, Dora, Eugene,
Fernanda, Greg, Hilary, Irwin, Jova,
Kenneth, Lidia, Max, Norma, Otis,
Pilar, Ramon, Selma, Todd, Veronica,
Wiley, Xina, York, Zelda

 というものです。9/4現在最後のハリケーンはIrwinで、これは8/25に出現し8/28に消えています。
 大西洋のハリケーンにはX, Y, Zの名前もありません。おそらくそこまで発生数はないと考えられているのでしょう。太平洋発生のハリケーンには一応X, Y, Zの名前が用意されていますが、XはXavierとXina、YはYolandaとYork、ZはZekeとZeldaの二つの名前の繰り返しというようにやる気がみえず、あくまでも予備名ということらしいです。


 言いたいことも多々ありますが、とりあえずはニューオリンズが一日でも早く混乱から立ち直って、すべての人たちがパンを得ることを願います。文句は衣食足りて礼節が戻ったところででも言えますから。


(この記述は主に次のサイトを参考にしています:Hurricane Names