天声人語に一言

 まあ今日の朝日新聞のコラムは、精一杯の嫌味を述べられたようで、全然爽やかではなかったわけですが、それにしても天声人語のレベルも落ちたなと思った次第です。 いえ、何も「独」の字を書き連ねて「独裁」を無理やり匂わせるようなそういう小手先のテクニックを申しているのではありません。

 9月12日の天声人語

 圧勝するさまを見ていて、「独」という字が思い浮かびました。独特な党首の独断による独(ひと)り勝ちでした。今後、国政が小泉自民党独壇場になって、独走や独善にまで陥ることはないのでしょうか。圧倒的な多数を与えた有権者でも、それは望んでいないはずです。


 明治時代、口の悪さで知られた斎藤緑雨という文人がいました。「拍手喝采は人を愚にするの道なり。つとめて拍手せよ、つとめて喝采せよ、渠(かれ)おのづから倒れん」(『緑雨警語』冨山房)。


 タフなあなたのことです。いくら拍手喝采されても、倒れることはないのかもしれません。しかし、郵政以外に、待ったなしの課題は山ほどあります。勝利の勢いあまって、肝心の日本という国が倒れないように、くれぐれもお願い致します。 不尽

 いきなり斎藤緑雨の引用を持ってくるようなことをして、せっかく教養をひけらかそうと知的な文を書こうとしていらっしゃるのに…


 独壇場(どくだんじょう)


 はないでしょう。聞くところによりますと朝日新聞(そして天声人語)はお受験に採り上げられることもしばしばとか…。それならばなおさら、現在は通用するようになってきたとはいえもともと誤用の言葉や漢字を使うなどということは避けるべきでしょう。明治の斎藤緑雨ならば、決してこの「誤用」は許さなかったはずです。もちろん正しくは


 独擅場(どくせんじょう)


 なわけです。もしかして当用漢字外だからですか?パソコンに付属のIMEでも一発で変換できませんよね。しかし卑しくも緑雨を引くぐらいの教養をお持ちの方が、「独壇場」を使うのははっきりおかしいと申したいです。しかも公器を自称される一般紙の一面ですよ。この言葉を使わなくても思いつきのような「独」の羅列は出来たはずですので、冒頭のような感想を抱きました。天声人語もレベルが落ちたと…

追記

 usbmouseブログさんの「冠省、朝日新聞様。」がこの天声人語の秀逸なパロディでした。今回の小泉氏の手法と土井社会党の89年参院選の手法を比べられたところは、パロディの域を超えて的確な読みだと感心させられました。