根上淳氏逝去

 あんた何様日記さんで、根上淳さんの死を知りました。またそこでは『帰ってきたウルトラマン』の第31話「悪魔と天使の間に…」の紹介もされていました。

悪魔と天使の間に…
 MAT隊長伊吹(根上淳)にはクリスチャンの一人娘美奈子がいた。彼女は日曜学校で
知り合った聾唖の美少年輝夫とコミュニケートしようと、一生懸命手話を覚えようと
していた。だがその輝夫は実は郷(ウルトラマン)を狙う異星人であり、郷はそのこと
を伊吹隊長に訴えた。
 しかし伊吹は、「何かの偏見で人を騙したり、疑ったり、差別したりする子供には
育てたくない」という理由で、娘にそのことを伝えるのを拒否する。だが結局輝夫が
ウルトラマンを排除しようとする宇宙人であることを知った伊吹は、自分の手でその宇宙
人を射殺する。
 そして自らの善意の敗北を認めるかのように「(娘には)やはり事実を話すつもりだ。
しょせん人間の腹から生れた子だ。天使を夢見させちゃいかんよ」と、郷に語るのであった。

 とても心に残る(でも後味の非常に悪い)エピソードです。


 この話の脚本を書いた市川森一氏(彼自身クリスチャンです)はこう語っておられます(※)。

 キリスト者っていうのは、ひと言でいえば『試される者』だと思うんです。自分が信じる絶対真理があって、一方でドロドロした現実の人間関係があって、その中で絶えず試練を受けていくのがキリスト者だから、当然、僕がドラマにキリスト者を出すとすれば、彼の魂は絶えず悪魔と天使の間で試されていることになる。


 根上淳さんのご冥福をお祈りします。


(※切通理作氏の『ウルトラマンにとって正義とは何か?』から引用させていただきました)