問題を糊塗しても…

 ソウル大の黄禹錫教授の卵子売買疑惑について、現地のニュースなど追加情報がいくつかのブログで紹介されていました。
 特定アジアニュースさんのところでは

卵子入手問題を報じた番組のスポンサーに不買運動
MBCピンチ、卵子売買疑惑報じた『PD手帳』に抗議殺到
 (スポーツ朝鮮 2005/11/25)

 MBC掲示板には 「放送局がつぶれる日まで不買運動する」、「PD手帳制作陣を国家保安法に基づいて処罰せよ」、「黄教授がノーベル賞を取れなかったら、全てのMBCのせいだ」など、過激な発言が殺到している。

国家の将来がかかった重大な問題で揚げ足取り、国益に莫大な損害を与えたことに対する責任をとらなければならないというのが多くの視聴者の意見。


黄禹錫教授報道に抗議 『PD手帳』スポンサー広告不買運動 (朝鮮日報 2005/11/25)

 24日、黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大学教授が卵子採取問題と関連し、すべての責任を負い兼職から辞退するという記者会見を開いた後、ネチズンはこの番組のスポンサー広告に対し「不買運動」を繰り広げるとしている状態だ。

 という記事の紹介があり、また、
♪すいか泥棒 日曜版さんのところでは

黄禹錫教授「卵子疑惑 全責任は私が負う」 (韓国経済新聞 11/24 17:56)

…だが,黄教授がこの日ソウル大獣医科大(訳註:獣医学部)で開いた記者会見を通じて「倫理疑惑に関する事実関係を知りながら否認して来た」ことを認めたことから,研究者として透明であり得なかったという負担はなお残ることになった.


[ニュースタイム]黄教授,研究員 卵子寄贈「是認」 (KBS 11/24 20:48)

リポート: ソウル大学黄禹錫教授は さる2003年,卵子入手の困難だった研究初期に,研究員2名が自らの卵子を寄贈しようと言ったが断ったと述べました.

それが昨年 Nature誌から確認要請を受けて初めて,研究員が卵子を寄贈していた事実を知るに至ったものの,研究員らの要請により これを公開しなかったと明らかにしました.

(以下黄教授のインタビューなど)

 のような記事やニュースのご紹介があります。(※関連記事をまた追加されていました)

 お二方ともきちんと突っ込まれておりますが、何より「自尊心の問題じゃないでしょう」ということは言っておきたいと思います。韓国の人たちが喉から手が出るほど欲しがっている「ノーベル賞」の期待を黄教授にかけていたのは理解しますが、だからと言って闇雲に彼を庇うようでどうなるというのでしょう? しかも八つ当たり的に不買運動をしたり…これでは卵子提供者の元研究員が、正直に事情を説明することはできない風潮ができてしまうと思います。
 また何より韓国がES細胞の研究で抜きん出た成果を挙げてきた理由のかなりの部分が、他国では倫理問題で慎重だったという事情にもよります。(著作権問題で慎重だった日本などを尻目にデジタルオーディオプレイヤーのシェアを最初のうちかなり握ったのと同じような状況です)
 どうせノーベル賞が出る出ないは相当先のことです。ここは責めるべきを責めて、それでけじめをつけた上で取れるものなら取ると、そういう話にすればいいだけでしょう。ES細胞研究に対して(世界の)人々の疑念というか汚れた倫理の印象が強くなってしまえば、この分野でノーベル賞云々はなくなってしまうだけでなく、分野自体が先細りする可能性すらあると申し上げたいです。