雲のむこう、約束の場所

 BSで今まで見ていました。暖色と寒色、青とオレンジの共存。「ほしのこえ」の素直な進展とも思えましたが、若干ラストは救いすぎ。さらなる先を目指して、ここはああいうラストに急がなくてもよかったかと思いました。あざといようでも、失うものは命であった方が余韻が生れるような気もしたのです。
 青とオレンジのような、いろいろな意味で二つのもののせめぎ合いにも思えたのですが、よくよく見ると二項対立ではありませんね。過去と未来、眠りと覚醒、幻と現実は微妙なところで対立を避け、移行し融合するような雰囲気で物語を組み立てます。ちょうど、しばしば表現される夕景のように。
 それが切ないものだとも受け止められましたが、結局はいまひとつ物語の鮮明さを犠牲にしてしまったのではないかとも見えました。欲張りなようですが、ラストが中途半端に思えてしまったのも事実です。今回の作で終わりではないのですから、決着をつけるような終わり方でなくてもよかったと、そう思いました。


 最後のクレジットで、やたら何度も何度も「新海誠」が繰り返されたのには微苦笑。まあ仕方がないですけれども…。