生後11日の男児連れ去り(光ヶ丘スペルマン病院)

 昨年末の今市市での女児連れ去り殺人事件も犯人逮捕に至っていませんが、今度は乳児連れ去り事件です。
 病院に男が乱入、生後11日の男児連れ去る…仙台

 6日午前3時40分ごろ、仙台市宮城野区東仙台6、「光ヶ丘スペルマン病院」(志村早苗院長)の3階307号室に入院している同市宮城野区、会社員山田斉(ひとし)さん(27)の妻弓美さん(23)から、長男柊羽(しゅう)ちゃん(生後11日)を男に連れ去られたと110番通報があった。
 県警は未成年者略取容疑で仙台東署に捜査本部を設置し、捜査員309人態勢で男の行方を追うとともに、柊羽ちゃんがどこかに放置された可能性もあるとみて、病院周辺や裏山などを捜索している。


 この日、仙台市の最低気温は午前4時44分に氷点下5・3度を記録していた。
 調べによると、柊羽ちゃんは307号室の入り口付近のベビーベッドにおり、母親の弓美さんは隣のベッドで寝ていた。
 男は「火事だ」と叫びながら室内に入り込み、柊羽ちゃんをいきなり抱きかかえて連れ去ったという。男は、3階の非常口から病院北側へ通じる外階段を下りて逃走したとみられる。


 男は病室に入る直前、3階のナースステーションに現れ、応対した看護師に紙切れをかざし「ガソリンをまいた」「院長に用がある。おれと院長のことだから」などと話しかけ、発煙筒のようなものに火をつけるそぶりをみせ、ナースステーション隣の新生児室に押し入った。看護師が阻止したため、307号室に向かったという。


 男は40〜50歳代とみられ身長約1メートル75。中肉で、髪を七三に分け、赤い縁の眼鏡と白いマスクを着けていた。黒いハーフコートに白いズボン姿で、軍手をしていた。(後略)
(2006年1月6日14時5分 読売新聞)

 単純に子供が欲しいという動機に基づく事件なのでしょうか? だとしても私には理解し難いのですが、もしそういう動機でないとすれば、ますますわけがわかりません。一日も早く無事に赤ちゃんが見つかりますように。


 さて、早くもいくつかのサイトでこの病院名を茶化すような記事が載っていました。確かにこの名前はギリシア語源の「種子」を指すスペルマ(sperma)(複数形はスペルマタ(spermata)・アナクサゴラスなどの哲学用語でもある)を想起させます。また世界最大のコンドーム製造会社デュレックス社のキャラクターにも、実は「スペルマン」というのがいるようです(国内スペルマン関連記事)。


 しかしこの病院の名の由来となったフランシス・J・スペルマン枢機卿(ニューヨーク大司教)は、かなりの有名人と言ってよいと思います。茶化すと恥ずかしいかもしれません。
スペルマン病院の由来

 昭和27年頃、カトリック北仙台教会の主任司祭であったピエール・ビソネット神父は、結核に悩む貧しい人たちのために無料で治療する病院を建てようと、当時仙台に駐留していた米軍およびその家族から寄附を集め、また来日中のスペルマン枢機卿ローマ教皇の選挙、補佐にあずかる職)の援助を得て資金を作り、昭和30年当院が開設されました。
「光ケ丘」とは、聖書の中の「闇の中を歩む民は大いなる光を見る」 という由来によるもので、苦しみを通して喜びを見い出すの意味がこめられています。

 「光ケ丘」については

 闇の中を歩む民は、大いなる光を見
 死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。
旧約聖書イザヤ書9章1節、新共同訳)

 こちらに由来するということのようですね。


 ボストンの司教であったFrancis J. Spellmanは、1939年4月15日にニューヨークの第六代大司教に指名されました(参照)。彼は教皇ピウス12世とルーズベルト大統領(FDR)の双方の友人でもあり、イエズス会の重鎮、反共主義者としても知られています。
 彼は1967年に死去するまで精力的に(ある意味)政治的に活躍しました。その所為か、ある種の陰謀論(特に第2バチカン公会議(1962年10月から1965年12月))に絡んで今なおいろいろ囁かれています(この公会議については枇杷さま@園丁日記2005年10月26日の記事などで触れられていますね。近年のカトリックにとっては非常に大きな意味の転換点だったと言われるものです)。
 彼を黒い教皇(Black Pope)=陰の実権者だったとまことしやかに言うサイトまでありました(こちら)。陰謀論はどこの国でも盛んなようです(タメイキ)。

THE POWER
having ruled over Popes Pius XII (Hitler's Pope), and John XXIII (Khrushchev's Pope),
Paul VI (Johnson's Pope), including their hierarchies;
in command of the Masters of international Secret Societies including:
The Sovereign Military Order of Malta,
Scottish-Rite Shriner Freemasonry,
The Order of the Illuminati,
The Knights of Columbus,
The Knights of the Ku Klux Klan, B'nai B'rith
The Club of Rome, The Nation of Islam and its private army called "The Fruit of Islam",
The Mafia Commission, and Opus Dei along with a host of lesser brotherhoods.


The Murderers and Traitors in the Assassination and Cover-up of President John F. Kennedy.


 光ヶ丘スペルマン病院の名前は、ホスピス関連の書籍にたびたび出てくるものです。この名前でにやにやしているあなたは、陰謀論でスペルマン枢機卿を真っ黒に語る人よりまだましかもしれませんが、やはりそれは「若いな」と思ってしまいますよ。