実名の重み

 ネット上での実名・匿名の論議は長く続いておりますが、高踏なそういう議論についていく以前の素朴な疑問を一つ持っています。それは、ネットに出す実名の重みは等価ではないんじゃないか、ということです。どちらかと言えば珍しい苗字を持つ者の僻みかもしれませんが…


 以前にも紹介したことがありますが、須粼さん@須粼のホームページで全国の苗字についてデータを調べられるようになっています。私の苗字は世帯数100とちょっとで14000位に届こうかというぐらい。フルネームでgoogle検索すれば最初の10項目はすべて私本人絡みで直にヒットします。もちろんそこで私の現職場がわかりますし、どういうことをやっているかもほぼ見えるといってよいでしょう。


 これに対して全国世帯順位上位の苗字の方々

  1. 佐藤
  2. 鈴木
  3. 高橋
  4. 田中
  5. 渡辺
  6. 伊藤


 よく聞くこれらのお名前の方々では、フルネームにしたところで同姓同名ではない自分本人がヒットしてくる確率は低いのではないでしょうか? もちろん有名人でいらっしゃる方では事情が異なるでしょうが…。同姓同名の人が多い確率は、概ね苗字の多さ順と正の相関があると思われませんか?


 そういえば、昨年の11月の頭に「大谷昭宏逮捕」というニュースがありました。
大谷昭宏逮捕のニュース

 覚せい剤所持で京大生逮捕 「薬物に興味があった」


 京都府警上鴨署は4日までに、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで大阪府河内長野市天見、京都大2年大谷昭宏容疑者(20)を逮捕した。
 調べでは、大谷容疑者は10月28日午後、覚せい剤の粉末1袋(約0・17グラム入り)を京都市内で所持していた疑い。「前から覚せい剤などの薬物に興味があった。使うとすっきりした」と供述している。(以下略)
共同通信) - 11月4日21時50分更新

 「大谷」という苗字は全国で32066世帯、順位にして159位です。
 また、昨年の奈良小一女児誘拐殺害事件では「小林薫」容疑者が逮捕されましたね。小林姓は250901世帯、9位の苗字です。


 佐藤とか鈴木とかいう苗字の方には、それこそ本人を覚えてもらいにくいというデメリットはおありでしょうが、単純に考えてネットに実名が出ても本人特定される危険性はかなり低いのではないでしょうか。つまりよくある苗字の方はネット上での実名の比重が割合軽くなると…これはメリットと言ってもよいと思います。これに対して数少ない苗字の人、たとえば「四月一日(わたぬき)」さんなどの実名が出てしまいますと、一発でどこの誰かというのが特定されてしまうでしょう。苗字が少数派の人(もしくは名前がとても変わっている人)は、漏れてしまう実名の重みが時にかなりあると見なすことができるのでは? 有名人なみに「特定されやすい」ということは、静かに暮らしたい人にとってはデメリット以外のなにものでもありません。

 佐藤和男(仮名)さんの名前がさらされるのは、四月一日和男(仮名)さんの名前がさらされるのと等価ではない

 ように思えるのは私だけでしょうか?
(※四月一日さんに何ら含みはありません。もし本当に四月一日和男さんなる方がいらっしゃったならばお詫びいたします。ここで例につかわせていただいたのは、世帯数1、苗字順位88600位という極端なところに位置されているからで、またそのお名前は確か押坂忍さんの『特ダネ登場』の珍名さんクイズで伺っていたような…)