パーレの主題による変奏

 ある朝パーレが目覚めると、家の中には誰もいなかった
 お父さんもお母さんもいない
 しーんと静まりかえった世界


 町に出てみた
 そこにも誰もいなかった
 この世界にはパーレ一人しかいない


 おなかがすいたパーレは、パン屋さんに入りパンを食べた
 誰にも怒られない
 この世界のすべては自分ただ一人のためにあるとパーレは思った


 車を運転してみた。前からやってみたかったから
 銀行に入ってみた。いくらでもお金が持ち出せた
 宝石屋に入った。ざくざく宝石をポケットにつめた


 何でもできる
 何をしても怒られない
 この世界は自分のものだ


 でもそこにはパーレしかいなかった
 他の人は誰もいなかった
 そしてパーレは…

 (デンマークの絵本)
 『せかいにパーレただひとり』
 イェンス=シースゴール/さく アルネ=ウンガーマン/え やまのべいすず/やく 
 偕成社 初版:1978年07月
 定価:1260円/対象年齢:5・6歳から/22cm×14cm/42ページ/ISBN4-03-425060-7/C8797/NDC949

 もう絶版になってしまっている本ですが…