車椅子スペースの合理性

 朝から気分がよくないです。体調的なものではありません。今朝駐車場で車椅子マークの駐車スペースに停めて去ろうとした人に注意して、何か疲れたからです。駐車場はまだまだ空きが多い時間でしたし、本人がひどく急いでいたわけでもなさそうでした。ただその駐車スペースが一番建物の入り口に近く、他のスペースに停めるよりほんの10メートル歩かずに済むというぐらいの理由なのでしょう。またそのスペースにはすでに他の車が一台停まっていたので、軽く考えて停めたのかもしれません。
 そこは二台分のスペースとして確保され、普通車なら詰めて三、四台入るぐらいのところです。実際に車椅子の方がそこのスペースを使われるのを見るのは、年に何回もないのは事実です。でも、そのスペースがある以上、そこを空けておくのが合理的な判断だと私は考えます。


 はてなのアンケートでしたか、電車の優先席に座りますかという質問があったと思います。その席を優先される以外の人でも案外座ると答える方がいらっしゃいました。それらの方の言葉で「譲るような人がいないときは座るのが合理的、誰か優先されるべき人がきたら譲ればいい」というものがあり、まあ確かに「本当にすぐ譲ることができるならば」という留保付ですがそれは納得できるものです。専用席という名称でなく優先席という名前からもそういう使い方が想定されているようにも考えられます。


 しかし車椅子マークの駐車スペースはどうなのでしょう。年に何度も車椅子の方が来られるわけではないとは言え、いざその方が来られた時、結局使えないならばそのスペースはもとから無意味になってしまいます。車を停めて、そこでずっと誰かがいるということはありえません。ですからいざとなれば譲る、ということができないのです。この場合は、普段使っている身障者の人がいないからとそこを使うことは合理的ではありません。


 無駄にしているスペースを有効利用…とかいう理屈をとる方もおられるでしょうが、その場合の合理性というのはあくまで経済性という意味に限定されます。そのスペースの意義が無に帰すならば、合目的性という意味でそれは決して合理的ではありえないのです。


 かつてスーパーマーケットの駐車場で、これまた車椅子スペースに停めようとした人に注意して話したことがありますが、「自分だけがやっていることじゃない」「自分がここを使わなくても他の誰かが使う」「他の人がうまいことやっているのを見ると、自分が損した気持ちになる」等々の本音を聞かせてもらいました。


 他の人もやっているのに…というのは今朝も聞いた言葉ですが、これは本人の責任を少しも軽減するものではありません。「みんな」とやらに責任を分散させることができるとするのは、基本的に小学生でやめて欲しいものです。この手の高を括った大人はよく目にするものではありますが、こういう大人が無責任な子供を再生産するんだなとそのつど思います。


 自分が遠慮してそのスペースを使わなくても、誰かがそこを使う…という読みは、悲しいかな確かにそうなのでしょう。不心得者はどこでもいます。しかしだからと言って自分がその不心得者になる必要などどこにもありません。また、そういう行為を一人がした場合、後からする者の心理的抵抗を少なくしてしまう(これまたおかしな話なのですが)という悪影響すら出てきます。世の中に犯罪者がいるからといって、自分も犯罪をしていいとはならないはずなのに、こう言い出す人は少なくありませんね。また「ここに他に停めている奴にも注意しろ」とか馬鹿を言う人もたまにおりますが、私は目の前で見たのをまず指摘しているだけで仕事でやっているわけではありませんといつも言います。この論法は、完全な正義が得られないんだったら正義に意味が無いとでもいいたいようなのですが、全か無かの選択に持ち込むような詭弁にはつきあっていられません。


 さて他人が「うまいことをやっている」のを見ると自分が損した気持ちになるから…というものに関しては、そういう人が多いのかどうかわかりません。ひとが考えるほど、他の人が「うまいことやっている」ケースはないと思いますし、そのうまいことというものには大抵リスクが伴っていると思えます。
 まっとうにリスクをとって結果的に「うまいこと」に与るならば、それは正当なことでしょう。不法なことで「うまいこと」に与るのは、違法性というところで弱点を抱えることになりますし、たとえそれがばれないようでも、いつの間にか心が鈍磨しモラル的に破綻する危険性を持つでしょう。
 なにより他の人が得をするということが、直接自分の損に思えてしまうという心情は少しおかしいです。そう考えてしまう人は、自分の世界観が硬直して狭いものになってはいないかと疑ってみるべきでしょう。


 というようなことを朝から書きたくなるような状況は、私にとってもこの社会にとっても幸せなことではないですね。愚痴みたいなものですが、ちょっと記しておきます。

ちょっとだけうれしかったこと

 初めて記事にポイントをいただきました。匿名の方、ありがとうございます。
 気分が沈みがちな朝に、一つの救いでした(おおげさ?w