モデル化

 内田樹氏の「不快という貨幣」は、確かに面白い視点で考えさせられるものだと思いましたが、どうも引っかかるところがありました。
 それは、この話が氏の考える「現代日本の典型的な核家族」というモデルにひとえにかかった立論だからではないでしょうか。
 つまりそれは「核家族で、父親が給与生活者で、母親が主婦(メイン)」というモデルになっているのですが、たとえば平成12年(2000年)の国勢調査データをもとにした、総務省統計局の都道府県・市区町村別核家族世帯の割合(統計地図)には

 一般世帯数は46,782,383世帯、核家族世帯は27,332,035世帯(一般世帯数の58.4%)

 と書かれていまして、核家族はまだ全世帯の6割に至らないぐらいです。ここで確かに核家族世帯割合は平成7年に比べ6.1%の増加となっていますが、2000年以降のわが国一般世帯数においてこの割合は減少するとの推計も出されています。


 これをモデルにして考えるというのも漏れが大きすぎるような気もします。一つのモデルに寄りかかるほど、「思いつき」に見えてしまうのもいたし方ないことなのかもしれません。
(※親が給与生活者ではない家庭…たとえば自営業の家庭では同様の問題は子供に起きないのか、とか要らないことを思ってしまいますし)