アフガン改宗問題続報

アフガンの改宗男性訴追中止、近く釈放へ

 イスラム教からキリスト教への改宗が罪に問われて拘束され、極刑の危機に直面していたアフガニスタンの男性アブドル・ラフマン氏(41)について、アフガン最高裁スポークスマンは26日、共同通信に対し、精神状態などを理由に同氏への訴追手続きが中止されたことを明らかにした。同氏は近く釈放される見通し。


 当局者によると、ラフマン氏の親類らが26日、同氏の精神状態が不安定であることなどを法廷で証言した。また同氏の国籍が明確ではなく、ドイツの市民権を持つ場合はアフガンの法廷に裁判権がないことなどが理由としている。


 精神状態などを調べた上で、同氏は間もなく釈放される見通しだが、検察側にはさらに調べを続けるよう求めており、今後の展開には不透明な部分もある。(中略)


 アブドルラフマン氏は約16年前に改宗、居住していたドイツから約1カ月前に帰国した際に家族の通報で拘束された。
[2006年3月26日23時51分](nikkan sports)

 未だ詳細はわかりませんが、問題は解決の方向に動いているとも思われます。
 新たに得たこの情報では男性が16年前に改宗済みであったことが言われています。これが事実でしたらなおの事、彼が今何らかの罰を受ける理由があるようには考えられません。
 確かにイスラム革命をうけたイスラム改革運動による政体は、政教一致を理想の状態と考えているでしょう。しかしそこで作られた国・政府が国際社会と関わりをもって存在しようと考えるならば、革命の正義、教義の正義がそのまま通用しない世界にも開かれていなければなりません。理想のみを性急に実現しようとするならば、ある意味それは巨大なカルトになってしまうとも言えます。


 カルト、あるいは急進的革命集団の中では、突出した理想主義を採る者がより正義に近いとみなされ、不断のエスカレーションが起きてしまいがちです。そしてそれは、集団全体の維持という目的とは往々にして相容れないものです。アフガニスタン政府が、そして何よりそこの人々が冷静さを取り戻すことを期待します。