偏見?

 「男は刺客だった。女は刑事だった。許されない愛だった」とかいった感じの映画の予告編を何度か目にしました。韓国映画らしいです。まあこのナレーションを聞いて、もう大体わかっちゃったような気になってしまうわけですが、その当否はさておき…


 これは設定に難があるんじゃないかなとふと思いました。男性がアウトローで女性が法の番人の場合、様式的な葛藤は無いか薄いと直感されます。女が男のもとへ走って終わり。そこで女が男のもとへ走らないとすれば、それは「きれいなお話」にはならないと。
 逆の設定ならば、男が女のもとへ走るか走らないかは十分葛藤として見せ場になり得ますし、走った場合も走らない場合も悲劇としての「美しい話」になり得ます。(偏見?)


 こうした固定観念を打ち壊す名人芸があれば、それは驚くほど斬新な感動を与えてくれるでしょうが、そういう離れ業ができる作品なんて何年に一度というレアなものでしょう。
 実世界ではもちろん男も女も一人一人いろいろですし、どう決断し行動するかは一概には言えません。秩序重視で律儀な女性や情念に生きる男性など珍しくもないかもしれないですね。
 しかしせいぜい一時間半から二時間の映画の中で、しかも一貫したストーリーの中で、様式として存在してきたお約束をひっくり返すのは大変難しいことです。オーソドックスな手法の正攻法の映画ならなおさら。まして美しいお話にしようとしたらそうなります。
 実験的ではない映画、加えて昨今の韓国映画マニエリスム重視)ならば、これはもういい映画にするのは至難の業かと…


 で、ちょっと気になったので前田有一氏の超映画批評を見てみました。ここでは、『デュエリスト』10点(100点満点中)とのことでした。