あんとに庵さんの個展に行って来た記2

 私はニフティーでぱそ通していた時以来、ネット上で知り合った方(たち)とお会いしたのはただの一度しかありません。出不精だったというのもありますし、わんこと暮らし始めてからは都内辺りで暗くなるまで遊ぶというわけにもいかなくなっていましたから…。 今回は基本的に画廊にいくだけですし、いらっしゃらなかったらそれはそれで仕方がないと思い定めていたということも結果として出向こうという気持ちを固めてくれました。


 ですから、普通ならその場にantonianさんがいらっしゃらなかった時点でもうひっそり帰るはずだったのです。福原さんの勧めがなかったら間違いなくそうでした。ひとえにオーナーのおかげです。感謝しております。略図を描いてまで勧めてくれたご好意を無にしたくないなと(最近、こういうおせっかいに飢えていますし)それのみで、勇気(←おおげさ)を奮い起こして喫茶店の重いドアを押したのでした。


 ドアから反対側の奥の方に、髪を団子にした女性とあと数人の方々が談笑されております。こういう内輪っぽい輪の中に入っていくのは得意ではないのですが、もうお店の方もこちらに気付いておりますし、清水の舞台は蹴ったも同然。声を掛けなかったらただの馬鹿です。
 「あの…失礼ですが…」
 店の方にちょっと目で訳ありっぽくサインして(というか私はしたつもりで)、奥につかつかと歩み寄り、とうとう声をおかけしました。髪が団子の方に。


 後で思ったのですが私は激しく緊張しておりまして、名刺でも出せばよかったものを(最後まで出すことを失念していたあほうは私です)唐突にブッタの写真を出して「これの親ですが…」とやってしまいました。
 ほとんど「アチャー」な状況なのですが、antonianさんは優しくわかってくださり、ご挨拶だけで帰ろうと思っていた私に椅子を勧めてくださいました。ご一緒だった皆さん、すみませんでした。antonianさん、ありがとうございました。私は勧められるままに椅子に座り、その後30分ほど会話をさせていただいたのです。


 antonianさんはラテンで素敵な女性でした。


 まあたまたまその時ラテンモードにスイッチが入っていただけかもしれませんが、黒っぽい服だし、髪は団子だし、そのまんまラテンな画家という風に私には見えて、しかもお話のされようも(私には勝手に)ラテンの乗り風に感じられて、実は(とてもおしゃべりな私にしては非常に)寡黙な状態になって緊張してしまっていました。(逆にそれで普通の人ぐらいになっていたかも 笑)


 とにかく緊張するやら恥ずかしいやらでしたが、結局お会いできて良かったですし、今はとても嬉しく思います。それにしてもその時は末席に加わるのがやっとで、絵や彫塑のことも全く話せませんでした。場を乱さないようにと思ったからでしたが、ああいう場合は(絵を見にきたことでもありますし)かえって失礼だったかなと。


 それでantonianさんが画廊に戻られ、お友達が帰られるタイミングで私も店を出ました。店の外であわてて「後で感想でも書きます」とだけ申し上げることができました。ファーストコンタクトとしては出来のいいものではありませんでしたが、いっぱいいっぱいの私にはあれが限度だったと思います。悔いはあまりないです。むしろ後味は良いほうで…


 今思ったのですが、antonianさんのラテンモードはもしかしたらサービスモードだったのかも。お疲れのところすみませんでした。そして繰り返し御礼申し上げます。行ってよかったです。絵の方も楽しめましたし。作品が売れていればなおよいのですが、私のポケットマネーにはちょっと…というところもあり、ただで愉しんでそれでご勘弁を。


 ということでとりあえず顛末記はお仕舞いにしておきましょう。これ以上書いても襤褸がでるだけですので…
(と、ここで訳ありげにウインク. 幕)