靖国問題はA級戦犯の分祀では解決できない

 と、韓国政府当局が「公式方針として再確認」だそうです。


 A級戦犯分祀では靖国問題解決できず、政府方針

【ソウル16日聯合】政府は靖国神社参拝問題に関連し、A級戦犯分祀(ぶんし)されたとしても日本の政治指導者による参拝は受け入れられず、問題の根本的な解決は不可能とする見解をまとめたことが16日、明らかになった。
 青瓦台関係者は聯合ニュースの電話インタビューに対し、「靖国問題A級戦犯分祀では解決できない。理由は靖国神社内の戦争博物館遊就館』からわかるように、過去の軍国主義を美化し侵略戦争を正当化する歴史観に変わりはないため」と述べた。


 政府は、A級戦犯分祀しても根本的な解決ではないとの見解を内部的に堅持してきたが、このほど内部での討議を経て、これを政府の公式方針として再確認したとされる。A級戦犯分祀が現実となっても、▼過去の軍国主義を美化する歴史観の不変▼韓国併合に関与した人物をあがめる現象▼韓国人犠牲者の合祀(ごうし)状況――などが変わらない限り、政府は日本の指導者の靖国神社参拝を容認できないという考えのようだ。


 別の政府当局者も、靖国神社は単なる戦犯合祀というレベルを超えた、日本の過去と結びつく歴史認識問題との点で見過ごすことはできないと話している。
(韓国・聯合ニュース 日本語版)


 分祀云々が問題ではなくて、靖国神社に政治家(上の記事では「日本の指導者」)が参拝するのが問題なのだという話です。これは実は前からそういう話があったわけでして、ここでも「再確認」という位置づけですね。


 この話が広く知られるようになってくると(中国の態度はまだ明瞭ではありませんが)「分祀」ということで折り合いをつけようとしていた方々はかなり困るでしょうし、あるいはそういう人たちは「小泉が強硬姿勢を取ったから話がエスカレートしたんだ」ということを言い出すかもしれません。まあこの段階でこの種の話が前面に出てきたのは確かに小泉氏の態度が引き出したと言えるでしょうが、これは遅かれ早かれ出てくる話だったと私は考えております。


 おそらく問題はさらにエスカレートするでしょう。日本の指導者の参拝は問題だ→日本の政治家の参拝が問題だ→日本の責任ある地位にある者(官僚・財界・公務員…)の参拝も問題だ→靖国神社がそもそも問題だ…
 どこまでいくでしょう。途中どこかの段階で政治的「手打ち」があったとしても、結局これは「靖国神社が考えていることが許せない」「その靖国神社を支持する日本人が許せない」というベースがありますので、何度も再燃して終わりがない問題のようにも思われます。


 おととい小泉首相は千鳥が淵も参られましたが、それをメディアは映像つきで伝えていません。11時半頃だったそうです。ご存じなかった方も多いでしょう。また安倍官房長官が四月に靖国神社を参拝していたことは、どうもメディア自身がほとんど知らなかったようです。知られなければそれは「宣伝」にはなりません。
 メディアが騒がなければ黙って個々人の参拝ということでスルーできることなのではないかと、私は密かに思っております。それで何がいけないのでしょう。メディアなどは、何か「他の自分の主張」のために殊更靖国参拝を持ち出してきているのではないでしょうか。それは単なる靖国の政治利用にも見えます。


 靖国神社を崇敬したり、あるいはただ参拝したいと思ったり、そういう日本人が絶えることは考えられません。だとすれば、靖国神社を(かなり誤解してですが)気に食わないという外国に、配慮し続けるということはそもそも無理です。ですから単純にこれは信仰の問題、ということでけりをつけるしかないことだと思うのです。そしてそのためにも、誰それがどこそこへ参ったの参らなかったのということを政治利用して大々的に広報するのはメディアの方々にやめていただきたいところですね。