相手が「こわもて」でくる時に、それに一歩も引かないで自分を主張するのはむしろ楽なことかもしれません。たいして勇気を持っていない私でもできます。この場合自分に強気を与えてくれる材料には事欠きませんし、多少エスカレートしがちといっても、自分が強気にでる程度は相手の行為から大体きまってくるもので、むやみに強く出てあとで後悔する・いやな気分になるのもほどほどに押さえられると感じるからです。


 むしろ後味が悪そうでなかなかできないのは、相手がにこやかに(場合によっては下手に)対してくる局面できちんと自己を主張することです。駆け引きといえばそうなのですが、そういう具合に相手が柔らかに来た時に、自分が場の雰囲気を乱し、強がっていると取られることに心の抵抗が働いてしまいます。それで思ったより自分の主張ができないなどよくある話です。


 真に人が試されるのは、逆境よりも順境ということにも通じる話なのかもしれません。